出版社内容情報
母国アメリカに忠誠を誓うのか、それとも父祖の国日本に殉ずるのか――。戦争の嵐の中、真の祖国を探し求めた日系米人の悲劇を描く大河巨編!
アメリカに生まれ、アメリカ人として育てられた日系二世たち。しかし日米開戦は彼らに、残酷極まりない問いを突きつけた。アメリカ人として生きるべきか、それとも日本人として生きるべきなのか――。ロサンゼルスの邦字新聞「加州新報」の記者天羽賢治とその家族の運命を通して、戦争の嵐によって身を二つに裂かれながらも、真の祖国を探し求めた日系米人の悲劇を描く大河巨編!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
104
アイデンティティという重みを感じずにはいられませんでした。時は太平洋戦争。アメリカに生まれた日系二世たちの問題が苦しかったです。アメリカ人か日本人かという残酷極まりない問い。日系という響きが苦難を生んでいるのに胸が締め付けられます。真の祖国は何処にあるのかを探す悲劇がここから始まるのですね。続きを読みます。2016/02/18
zero1
78
以前に読んだ本を登録。第二次大戦中、アメリカにいた日系人たちの苦悩を描く力作。主人公は東京裁判の通訳者として両国の間で苦しむ。日系人部隊によるテキサス大隊救出ものちに描かれる。
おたま
61
真珠湾に対して日本軍が奇襲攻撃をかけた後、アメリカ国内の日系人は、適性国人として収容所に収容される。新聞記者である天羽賢治とその家族もまた、カリフォルニアからマンザナール収容所に送られる。そこに待ち受けていた過酷な生活。アメリカ人として暮らしてきたにも関わらず、出自が日本人というだけで差別的に扱われる。アメリカ人として親米的に振る舞う者、日本人としての誇りを強調し反抗する者、そして天羽のようにその中間にあって迷う者、人々は様々な生き方に引き裂かれていく。「二つの祖国」をもつ者たちの、重い物語が始まる。2022/01/28
ともくん
61
アメリカ合衆国の市民権を持つ、日系二世でも、ジャップはジャップなのか── 第二次世界大戦中、日本軍の真珠湾攻撃により、アメリカにいる約11万人の日系人が強制収容所送りとなった。 国籍は、アメリカでも、見た目は日本人の日系二世の天羽賢治。 日本人としての誇りを胸に抱くか、巨大なアメリカという国家に屈するか。 常に二者択一を迫られる。 苦悩や葛藤を抱え、天羽賢治の目に映るアメリカとは……2019/02/19
あらたん
59
「大地の子」の次に手に取った。日本、中国、アメリカ、民族も政治体制も異なるけれど非常時における異民族に対する扱いは変わらない。日本人が中国人したこと、中国人は残留孤児にしたこと、アメリカ人も日系人にしたこと、みんな同じ。人種差別など異質のものを排除したくなる性向は人類普遍のものと心得るべき。社会の理性でそれをどう克服するかが問われている。2024/09/14
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