内容説明
業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。不気味で巨大な権力機構「銀行」を徹底的に取材した力作。
著者等紹介
山崎豊子[ヤマサキトヨコ]
1924(大正13)年、大阪市生れ。京都女子大国文科卒。毎日新聞社学芸部に勤務。当時、学芸部副部長であった井上靖のもとで記者としての訓練を受ける。勤務のかたわら小説を書きはじめ、’57(昭和32)年『暖簾』を刊行。翌年、『花のれん』により直木賞を受賞。新聞社を退社して作家生活に入る。’63年より連載をはじめた『白い巨塔』は鋭い社会性で話題を呼んだ。『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』の戦争3部作の後、大作『沈まぬ太陽』を発表。’91(平成3)年、菊池寛賞受賞
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感想・レビュー
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ヴェルナーの日記
201
著者は、元毎日新聞の記者。井上靖の下で執筆活動していたので、影響されてか、作品に緻密さと、よく練られた物語に仕上がっていて、重厚さを伺える本格的な社会派の作品が多い。本作も厚みを感じさせる物語で、万俵家の愛憎劇が面白い。また山崎作品は、モデルが存在し、本作の場合、万俵家は岡崎家であり、阪神銀行は現・三井住友銀行。大同銀行は現・りそな銀行で、阪神特殊鋼は山陽特殊製鋼株式会社、帝国製鉄は現・新日鐵住金にあたる。永田大蔵大臣は、時期的に鑑みて福田赳夫で、大川 一郎は福田一か、三木武夫ではないだろうか、と思う。2016/01/18
mitei
73
しかしこの人達は何が楽しくて生きてるんだろと思った。2010/08/01
はにこ
66
昭和的だなぁ。かつての日本は本当にこんな感じだったんだろうなー。一癖も二癖もあるこの一族。会社を一族の名前を守るために奔走する姿。お妾が当たり前のようにいたり。こういう世界とは縁がないから分からないけど、今も多少はありそう。この一族がどうなっていくのか興味深い。2025/10/04
reo
65
映画(1974年)とTVドラマ(2007年)キャスト比較。万俵大介は佐分利信がよろしい。北大路欣也だとアクが足りません。万俵鉄平は仲代達也と木村拓哉。キムタクも頑張ってたので双璧かも。三雲祥一は二谷英明と柳葉敏郎やが誠実感でやや二谷。美馬中は田宮二郎と仲村トオル、存在感で田宮。万俵寧子は月丘夢路と原田美枝子で頼んなさ加減で月丘。銀平は目黒祐樹と山本耕史ですがチャラさで目黒。極めつけの高須相子は京マチ子と鈴木京香。妖艶さで京マチ子やろか。映画にやや軍配が挙がるけど、TVドラマも面白かったので良い勝負やろね。2017/04/18
優希
59
銀行を徹底的に描いている印象です。読めるかどうか自信がありませんでしたが、どんどん物語に引き込まれていきました。業界ランクからの吸収合併を阻止しようとする大介。一子の夫を通じ、経営内容を入手しつつも、鉄平の融資依頼を拒否するのは、何か策略があるのだと思わずにいられません。不気味で壮大な金融の物語。序章ながらも既に読み応えがありました。2022/06/15




