内容説明
母親が刑務所で服役中に生れ、乳児院と養護施設で育った少年が女子学生を殺害した。裁判所は「性欲の満足という酌量の余地のまったくない動機」からの犯行と断定し無期懲役を言い渡した。裁かれるべきは本当に彼一人なのか?少年が育った環境の荒廃を追跡取材する過程で浮かび上ったきたものは、普通の家庭もまた彼の様な少年を育てているのではないかという恐しい真実だった。
目次
高裁803号法廷
甘えが封殺されて
養護施設の日々
不信と孤立のなかで
一審判決
人となる日に
社会が裁かれるとき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナツメッグ☆
4
本棚の隅っこにあったのを発見、内容気になったので読んでみた。 私は子育ては終わっているが、危ない危ない。 作中、ボランティアやっている寮母さんの子供のころの話し。友達が新聞紙のチリガミを持ってきているのを子供の時の寮母さんがおかしがり、父親にたしなめられたところは泣けました。2018/02/23
鈴川愛夏
2
荒廃のカルテ/横川和夫 読了 児童養護施設出身の一人の少年という想像し易い身近なテーマから、その少年が罪を犯すに至った経緯を考察するルポである。 この本を通して母子というものは依存体験をするという想像すると気持ち悪いとしか考えられない家族とかいうものの形態の社会の一般常識を知ることとなった。 そしてその一般常識を自分は知らない。人を信じる心がそれにより育まれるというが、何を言っているのか理解出来ない。2023/07/09
wei xian tiang
1
今は流石にないとは思うが,中学生の「部屋長」に下は3歳からの同室児の面倒を見させるという施設の実態が驚きを禁じ得ない。たとえ親子一対一の関係でも,未成熟な若年親の育児には見守りや支援が必要で,「子供が子供を育てるようなもん」と言われたりもするのに,ティーンエイジ入りたての子供が何人もの下の子たちの責任を負わせられるとは。上級生の下級生,幼児への虐待の描写はなんというかもう,読むに堪えない。2019/02/08
false_alarm
0
少年事件について語るなら、必読。
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