新潮文庫<br> 路上の人

新潮文庫
路上の人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 327p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101087078
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

1243年5月、異端討伐十字軍がピレネーの山麓に集結した。迎える異端カタリ派は、天空に突き立つ岩峰上の城塞を最後の砦としていた…。法王庁が絶対的な力を持ち、一方、王権も漸く台頭してきた中世ヨーロッパで、路上に生活の糧を求めて浮浪する“自由人”の眼に、教会は、教義は、騎士たちの生態は、どう見えたか。時代の転換期を舞台に、人間の自由と尊厳を問う長編小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ワッピー

24
禁書を求める役僧セギリウス、そしてその足跡を追う法王付大秘書官アントン・マリアの案内人となったヨナは、巨大な支配組織と化した教会へのアンチテーゼとして清貧を旨としたカタリ派への異端審問に巻き込まれる。アントンは、法王庁の代理人としてカタリ派との仲介をしつつ、カタリ派に身を隠すかつての恋人を探していた。ヨナとアントンの会話からあぶり出される13世紀後半のフランスの世情とアルビジョワ十字軍の爪痕、信仰の本質への問い。中世への導入部となる冒頭、猥雑な世俗と静謐な信仰を鳥瞰した路上絵巻には魅了されます。おススメ!2020/04/28

syaori

20
13世紀のフランス、アルビジョワ十字軍のあたりの時代を舞台にした本です。故郷を離れ共同体や組織に属さないで暮らす「路上の人、ヨナ」が主人公です。様々な縁と偶然から法王付大秘書官の従者となったたヨナの目を通してこの十字軍の時期のフランスやイタリアをはじめとする欧州の人々の生活や交流、信仰、教会、国や都市の興亡が描かれ、それがとても魅力的でした。信仰とは、宗教とは、生きるとは、などいろいろ考えさせられました。とりあえず北へ行くのを嫌がっていたヨナの「われわれの知る、最後の」行先が南のエルサレムでよかったです。2016/03/21

風に吹かれて

16
13世紀初頭。いつしか路上での生活者となり、騎士などの従者として糧を得ているヨナの視点から、絶対的な権力を持っていた法王庁の異端討伐の歴史の一端を、騎士の平和への想いを織り込みながら描く。バルセローナで著者が生活していたときに本作のほとんどが書かれた。多くのヨーロッパの文献を参考にしているようで、中世ヨーロッパの状況にも強く興味が持てた。小説ではあるけれど、何事かを信じる人間の精神についての著者の考察の一端として読むべきかと思える作品である。2018/11/05

Christena

15
まだ国家が出来上がっていない13世紀ヨーロッパを舞台に、異端とされたカタリ派について、路上の人ヨナの目を通して語る。中世ヨーロッパの混沌が生き生きと描かれているので、読み始めると夢中に。面白かった!2017/12/02

HoneyBear

11
転記:この本は凄い。中世13世紀のカトリック教会のあり方がわかる。曰く、キリストが再降臨したら火刑に処せられたであろうと。一般民衆は新約聖書を読むことを許されず、版画を作っても異端とされた。純粋な信仰を求めるカタリ派の破滅を、路上の「自由人」の目で淡々と描く。重い内容ながら一気に読ませる。2015/02/28

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