感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
飯田健雄
24
『落城・足摺岬』の中にでてくる「絵本」を読みたいために、およそ、50年ぶりによんだ。高校1年生の頃だったと思う。「三聯隊の起床ラッパが遠くかすかにきこえて来た」で始まる短編に、「戦前」という深い、やるせない憧憬が、ずっと新鮮なような気がしていたが、今回、半世紀を経ての再読は、非常に暗い文体である印象を受けた。50年前の方が、今の私よりも、ずっと田宮虎彦という小説家に共鳴していた自分がいたことを発見した。2016/09/19
しんこい
11
作者初読み。黒菅藩の官軍への抗戦と凄惨な滅亡を描く作品は、実は架空の藩。そうでなければもっと知れ渡っていそうな全滅の様相。他の作品も貧しい生活に、で妄執にみちた親父が出てくるのが変にリアリティがあって読ませる。2020/01/03
さざなみ
4
暗い陰気な小説。でも強烈にひきつけられる内容。 たまにはこんな短編集も読んでみると新しい発見がある。2014/07/29
がんぞ
0
守るべきアイデンティティが「家」であり「家名」であり、それを攻略することが相互の目標の戦いが行われた戦国時代を描いた短編など。作者は老年になって自殺したと文学史にある。作中であまりに悲しいことに遭遇して「どうでもよく」なったのかも知れない。2012/09/02
_fiord_
0
とにかく希望がない。何でわざわざ時間をかけてこんな暗い気持ちにならなければいけないのかと思う。淡々と嫌な思いをし、淡々と惨めになり、淡々と死んでいく。でも一瞬だけ美しい風景が出てくる時がある。それを感じるためだけにこちらも耐えて読む。2022/01/15
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- 和書
- 戦国期三好政権の研究