出版社内容情報
”小説” ならではの企みに満ちた“怪談” 全7編。深夜、疾走する車内を戦慄させた「高速怪談」、呪われた大ヒットホラー映画「苦々陀の仮面」、禁忌を犯してしまった夫婦と「こうとげい」、正体不明の殺戮犯「うらみせんせい」、作者不明の恐怖譚「涸れ井戸の声」他。謎めいた語りが恐怖と驚愕を生み、奇妙で不穏な空気と意外な結末に嫌な汗が滲みだす。著者真髄の大どんでん返し恐怖短編集!
内容説明
“小説”ならではの企みに満ちた“怪談”全7編。深夜、疾走する車内を戦慄させた「高速怪談」、呪われた大ヒットホラー映画「苦々陀の仮面」、禁忌を犯してしまった夫婦と「こうとげい」、正体不明の殺戮犯「うらみせんせい」、作者不明の恐怖譚「涸れ井戸の声」他。謎めいた語りが恐怖と驚愕を生み、奇妙で不穏な空気と意外な結末に嫌な汗が滲みだす。著者真髄の大どんでん返し恐怖短編集!
著者等紹介
澤村伊智[サワムライチ]
1979(昭和54)年、大阪府生れ。2015(平成27)年「ぼぎわん」(刊行時『ぼぎわんが、来る』に改題)で第22回日本ホラー小説大賞を受賞。同作は『来る』のタイトルで映画化もされる。’17年『ずうのめ人形』が第70回山本周五郎賞候補に選出。’19年「学校は死の匂い」で第72回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。’20(令和2)年『ファミリーランド』で第19回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
62
短編集。様々な切り口の怪談が揃っているが、個人的には著者が得意としているメタな部分を含む作品に良いのが多いように思う。傑作は何と言っても「涸れ井戸の声」。恐怖だけが迫って実態が分からないというのは言及されている小松左京の名作に通じるものがあるけど、本作は実態が主人公を掠り続けるようで一層怖い。傑作ホラー映画の批評や関係者の語りを通じて何か嫌なものが浮かび上がって来る「苦々陀の仮面」も名作だなあ。怪異を直接語られるより想像力の中から何かを生み出さされる方が怖いという、著者の力量が発揮された一冊でした。2025/07/04
眠る山猫屋
58
なんというか、この不穏な空気感がたまらない。物語が進むにつれて張りつめていく緊張感、二転三転して闇落ちしていく展開。最後まで気を抜けないのが澤村伊智という作家の恐ろしさ。放り投げではなくて、読者に委ねてくる事後の続きは、実話怪談系の手法だが巧妙な語りが完成度を高めてくる。関西へのシェアドライブ中の出来事を描く「高速怪談」が好き。車内という密室であまり深い付き合いの無いメンバー内で語られる怪談が距離を縮めて近づき、湧き上がってくるヒトコワ要素もあり、ゾワリとした空気が跡を引く。2025/07/01
Shun
30
澤村伊智ホラー短編集。怪談を小説の形で書かれたものや、怪談をテーマに描かれたホラー小説といったところで仕込みは様々。都市伝説のような怪談等を好事家たちが話題に挙げていると、やがて不穏な空気が侵食してくるようなドキュメンタリー調のものが流行りであると同時にやはり面白い。まるで怪談小説が現実に浸食してくるような怖さ。ホラー界隈で現在最も活躍しているであろう著者のこんな短編集が読みたかった、そんな希望を叶えてくれるのにうってつけの1冊。また著者お得意の土着信仰をテーマとした「こうとげい」といった作品も良かった。2025/06/11
ぽろん
29
前に読んでいたのに、忘れて再読。既視感があったので、思い出しましたが、何度読んでも、怖かったー。2025/06/21
みこ
21
それぞれにテイストが微妙に異なるので飽きることなく楽しめる短編集。ちょっとした叙述トリックとリアルな人としての苦悩を描いた「笛を吹く家」昨今のメディア業界の闇にも通じる胸糞ホラーの「苦々蛇の仮面」先入観を利用したトリックと怪奇ホラーが融合した「うらみせんせい」王道怪異の「こうとげい」がお気に入り。2025/07/16