出版社内容情報
思っていることが、なんで言えないんだろう。おしゃべりな周也と寡黙な律が、ちょっとした行き違いから気まずいまま下校していると――小学校国語教科書に掲載された「帰り道」や、亡き祖母に思いをはせる「遠いまたたき」、転校先で新たな一歩を踏み出す「あしたのことば」、書き下ろし「%」など、言葉をテーマにした9つの物語。子どもからおとなまで、すべての人の心に染みる珠玉の短編集。
内容説明
思っていることが、なんで言えないんだろう。おしゃべりな周也と寡黙な律が、ちょっとした行き違いから気まずいまま下校していると―小学校国語教科書に掲載された「帰り道」や、亡き祖母に思いをはせる「遠いまたたき」、転校先で新たな一歩を踏み出す「あしたのことば」、書き下ろし「%」など、言葉をテーマにした9つの物語。子どもからおとなまで、すべての人の心にしみる珠玉の短編集。
著者等紹介
森絵都[モリエト]
1968(昭和43)年、東京生れ。’90(平成2)年『リズム』で講談社児童文学新人賞、’95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞、’99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、’07年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、’17年『みかづき』で中央公論文芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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piro
44
ことばに纏わる短編集。小学生向けなのだと思いますが、大人が読んでも心にグッとくる作品ばかり。ことばの大切さ、美しさ、そしてことばの持つ力を感じられる作品の数々でした。イラストも美しくて優しい。『風と雨』は風香と瑠雨のふたりの関係がとても微笑ましい。『帰り道』の周也と律は小学生男子らしい爽やかさが嬉しい。大人の汚れた心を浄化してくれる様な作品の数々。真っ直ぐなことばはいいですね。2024/11/25
陽子
44
「ことば」をテーマにしたオムニバス。「言葉」とは不思議なものでもあり、怖いものでもあり、難しいものでもある。ひとつの言葉が勇気にもなり、希望にもなる反面、人をしばりつけたり、傷つけたり。色々な側面から言葉を見つめるきっかけにもなった。「幼い頃は自由に羽が生えたように羽ばたいていた言葉が、大人になるにつれて、蓋をするようになる‥」なんて、はっとさせられた。緘黙症の女の子の話が印象に残った。童話的な、こりすのお話も美しいイメージで良かった。久しぶりの森絵都さん。気楽に開けて、心に残るものも多々あり。感謝。2024/07/22
niisun
43
初期の児童文学『リズム』『宇宙のみなしご』『カラフル』、さらには直木賞受賞作の『風に舞い上がるビニールシート』などを読みたいできましたが、森絵都さんの文章はやはり読みやすい。小学校国語教科書に掲載された掌編も含む、児童文学の趣きのある作品群ですが、大人にも刺さる“ことば”が多いです。小学生同士のやりとりの中で交わされる“ことば”の重みが沁み沁みと思い起こされる『帰り道』『あの子が苦手』『富田さんへのメール』。中でも“ことば”を発しない子と、ちょっとおしゃべりが過ぎる子の交流を描いた『風と雨』が良かった!2024/08/01
したっぱ店員
39
「ことば」がテーマの短編集。言いたくてもうまく言葉に表せない気持ちを伝えられた時のすがすがしさ、人からかけられた一言でふっと楽になる気持ちなどが伝わってくる1冊で心がほっとする。表題作が好き。2024/08/10
あやっぴ
31
ひらがなが多く児童向けの本でしたが、これは大人が読んでもジーンとくると思う。言葉で伝えることは大事だけど、伝わり方ひとつで相手を傷つけ、人生を変えてしまうことさえある。学校の友人関係で悩む子供に、自らの体験をふまえてアドバイスする母親がとても印象的だった。言葉の上書きって大人になってからは難しいように思う。2024/09/22