出版社内容情報
聖フランチェスコの遺体はどこに消えてしまったのか──。特異な能力を有する修道士ベネディクトと、金の亡者たる助祭ピエトロは、使命を帯びて訪れたアッシジで、大いなる謎に遭遇する。ふたりはさまざまな人々と出会いながら、その核心に迫ってゆく。そして物語は驚愕のラストへ。神と聖人に篤き祈りが捧げられた中世イタリア。絶賛を浴びた冒険譚にして信仰の根源を問う本格歴史ミステリ。
内容説明
聖フランチェスコの遺体はどこに消えてしまったのか―。特異な能力を有する修道士ベネディクトと、金の亡者たる助祭ピエトロは、使命を帯びて訪れたアッシジで、大いなる謎に遭遇する。ふたりはさまざまな人々と出会いながら、その核心に迫ってゆく。そして物語は驚愕のラストへ。神と聖人に驚き祈りが捧げられた中世イタリア。絶賛を浴びた冒険譚にして信仰の根源を問う本格歴史ミステリ。
著者等紹介
川添愛[カワゾエアイ]
1973(昭和48)年生れ。九州大学卒、同大大学院にて博士号取得。津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授、国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授などを経て、言語学や情報科学をテーマに著作活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
41
面白かったです。アシジで起きた大いなる謎に迫る修道士ベネディクトと助祭ピエトロ。様々な人々と出逢いながら、謎の核心に迫っていくのにワクワクさせられました。神と聖人に篤い信心を捧げる中世イタリアということもあり、カトリック色も強い印象を受けました。信仰の根源を問う歴史ミステリーということで興味深かったです。2024/07/14
hukkey (ゆっけ)
17
現代人を投影した迷えるベネディクトやピエトロたちの心理描写が秀逸。ドミニコ会を騙る修道士からモンテ=ファビオ修道院へ贈られた聖遺物…この聖者の骨片は果たして誰のものなのか。そして、フランチェスコ会から持ち出されたとされる聖フランチェスコの遺体は、一体どこに消えてしまったのか。中世イタリアで正反対の聖職者2人がバディを組み、真相に迫っていく歴史ミステリー。何も持たず祈りを捧げながら旅し、無理に富を蓄えようとしない「清貧」。これを体現しようとしていたフランチェスコの真意に触れたとき、感服のあまり言葉を呑んだ。2025/01/31
はな
13
読み始めこそハマれるか不安だったけどあっという間にこの世界観に引き込まれました。読みやすくてテンポも良いので宗教的な知識がなくても想像以上に楽しめました。ベネディクトとピエトロは良いコンビだったので違う作品でまた登場してくれると嬉しいです。ベネディクトのあの力は結局何だったのか気になります。2024/08/28
しゅー
12
★★★著書を『言語学バーリトゥード』で知ったので小説を書いているとは意外である。しかも『薔薇の名前』や修道士カドフェル・シリーズ、修道女フィデルマ・シリーズを思わせる本格的な歴史ミステリである。中世のカトリック教会内の内輪もめが背景でマニアックな世界にも関わらず、読者への情報の提示の仕方がスマートなのでサクサク読めてしまう。よくある「お勉強したことを詰め込みました」的な小説ではなく、人物描写に絡めた自然な形で我々に当時のキリスト教界の様子を教えてくれるのだ。主人公の成長する姿も気持ちが良くて快作だと思う。2024/01/25
エク
8
13世紀イタリアが舞台。キリスト教について詳しくなく、また清貧の思考や聖遺物の理解が無い為、読み進めるのに時間かかったが、面白い歴史ミステリーであることは間違いない。バディを組む全く性格の違う二人の主人公が、どんどん魅力的になっていく所に引き込まれる。ベネディクトのギャグのような天然さが次第に人格者のようになり、狡猾なピエトロが不敵なネゴシエーターになっていく。この二人の一風変わった友情が清々しい。多分二人とも友達とは思ってないだろうけど。楽しい読書時間だった。2025/03/01