新潮文庫<br> 随筆集 花

新潮文庫
随筆集 花

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  • サイズ 文庫判/ページ数 184p
  • 商品コード 9784101044033
  • NDC分類 914.6

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

61
90代の作者が出した、「散るにまかせても惜しからぬ花びらの」「残屑を、どうにか拾い集めた」随筆集。その言葉に反して残骸とは思えぬ、伸びやかで美しい随想が並びます。北軽の山居で読んだ『マルクスの娘たち』から「女性であり、なお人間であろうとした先駆者」の痛ましい戦いに思いを馳せるかと思えば、同じ本から老夫婦が同じ時に死にたいと願い、樫と菩提樹に変じたギリシア神話のロマンチックな変身譚に思いが及ぶといったふうで、時に少女のように、時に枯淡の境地から世界や社会を見通す、風にひらめくような作者の想念を楽しみました。2022/04/07

壱萬参仟縁

26
1977年初出。習性じみた私の読書癖は、煙草好きが久しぶりの1本を盗んでも吸いたいおもいに似た憧れを、書物なるものに対して抱かせていました(46頁)。大英博物館の図書室が出てくるが(72頁)、一見の価値がありそうだといつも思う。憧れのLSEとか。夏目漱石先生は、非常に庶民的な方で、江戸っ子の気っ風を、英国紳士としての教養や思想の中にちゃんと持っていらっしゃる方(117頁)。 2015/09/28

スリルショー

2
これは随筆なのだか、面白いというのでもなく、つまらないというのでもなく、年老いたこの作家のゆっくりした時間が流れるような内容が、あまり現代小説ではお目にかかることがないようだ。しかしながら、文章は古風ながら上手く、この明治生まれの作家の心意気みたいなものも感じられ、百歳近くなっても、矍鑠としていることがわかる。最後の「いろいろなこと」は随筆というよりは、小説だが、若い頃に書いた作品らしいが人物造形が写実的ですっきりした感じが良い。いつまでも残って良いこの随筆集が廃刊になっているのは残念である。2024/02/08

頭痛い子

1
随分前にブックオフで流し読みして買って、そのまま放ったらかしにしていたのだが、いざ、ちゃんと向きあってみたら、ものすごくハマってしまい野上弥生子作品を貪り食うように読んでいる。なにがそこまで惹きつけるのか。本作は随筆集なんだけど、彼女(99歳まで生きた夏目漱石直弟子の作家)が、これでもかっ!と本音を綴っている。夏目漱石のことはもとい、永井荷風の日記的作品についてなども、きちんと「ここをこう思いました」「○○作品は」など、自分の言葉で濁すことなく書いているのが実に清々しい。続く→2022/01/18

samandabadra

0
エリセーエフさんのこととか、夏目漱石のこととか、宇野弘蔵さんのこととかへの言及をよむ。で、途中、磯野富士子さんの翻訳されたオーウェル・ラティモアの『モンゴル』についても言及があってびっくりする。100年生きるってすごいね。2023/09/10

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