出版社内容情報
「私たちのこと、忘れないでね」――そのとき、風が吹いた。大地に咲く紫の花が、一斉に空へと舞い上がる。かつて黄金の草原で、少年が少女に誓った約束が、五千年の時と遥かなる距離を越え、いま果たされる。偽史と小説――父から託された奇妙な古文書に秘められた謎。壙(こう)と?南(じなん)、史伝に存在しない二つの国を巡る、空前絶後のボーイ・ミーツ・ガール。日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
内容説明
「私たちのこと、忘れないでね」―そのとき、風が吹いた。大地に咲く紫の花が、一斉に空へと舞い上がる。かつて黄金の草原で、少年が少女に誓った約束が、五千年の時と遙かなる距離を越え、いま果たされる。偽史と小説―父から託された奇妙な古文書に秘められた謎。壙と〓南、史伝に存在しない二つの国を巡る、空前絶後のボーイ・ミーツ・ガール。日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
著者等紹介
高丘哲次[タカオカテツジ]
1981(昭和56)年、北海道函館市生れ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。同大学院博士前期課程比較文化研究科修了。2019(令和元)年10月、「黒よりも濃い紫の国」で日本ファンタジーノベル大賞2019を受賞。2020年、受賞作を改題した『約束の果て 黒と紫の国』を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
★Masako★
70
★★★★✰︎ 伍州という国で発掘された青銅の装身具に、正史には無い二つの国の名前が刻まれていた。それらの国に関する書物「偽史」と「小説」を見つけた一人の考古学者が、歴史の真実を求めて2冊を読み解くことに…。交互に語られる偽史と小説。合間に現代のパートが入り込んで複雑な構造ではあるものの、神話のような世界観にすぐにのめり込む。やがて偽史と小説がひとつに繋がった時、五千と七十年という遥かな時を超えて、少女と少年の約束が果たされる…目の前に広がるのは紫色のスミレの花野。壮大で切ない圧巻のファンタジー!2022/12/26
おかだ
33
面白かった!少年が少女との約束を果たす、そんなありふれた筈のやつがまさかこんな…こんな有り得ないほど壮大なスペクタクルファンタジーになるとは。凄い世界観。凄い五千と七十年。最初はう〜ん中華系国家統一苦手なやつや〜とか思ったり、二つ三つの物語が入り交じってなかなか入り込みにくいと感じたけど、気が付けばもう、もう夢中。螞九に思いを馳せて感情ぐっちゃぐちゃになる。ラストシーンもいい。読んでて菫の香りを感じるほど、濃密で深い読書体験。これは、レビュー書いた皆様の熱量が高いのも分かる!出会えて良かった!2023/03/09
あおでん@やさどく管理人
25
これほどスケールの大きいボーイ・ミーツ・ガールがあっただろうか。あと5メートルのところで果たされなかった約束を果たすために、2つの国が歴史に埋もれ、2つの物語が書かれ、幾人もの思いが受け継がれた五千と七十年。たかが1つの約束のために、と傍目には大仰に映るかもしれないが、約束の裏にある物語と、その果てをぜひ見届けてほしい。ボーイ・ミーツ・ガールが好きなら読んで後悔はない。おすすめ。2023/02/20
あおでん@やさどく管理人
16
【再読】過ちとは言えないような過ちから生まれた、果たされなかった約束。五千年の時を経て埋もれてしまっても、消え去ったわけではなかった。時を越えて人々の心を動かすこと、それが物語の力だ。2025/02/06
maimai
11
中国をモデルにした架空の国で発見された古代の遺物と、それにかかわる二つの奇書を巡る〈外枠〉のストーリー。そのその奇書を現代日本語に訳した、二つの〈内側〉の物語。いわゆる入れ子構造の小説で、外枠で語られる「遺物」は、二つの奇書のいずれにも関連がある。ところが、内側の二つの物語の間ではその繫がりらしきものは、当初あるように見えない。しかし話は次第に妙な方向にずれていき、両者の関連が次第に見えてくる。その見えて来る過程の、読者を想定を裏切り続ける感じが、スリリングで目が離せない。確かに「変」な話だ。2025/07/16
-
- 和書
- 日本印刷文化史