出版社内容情報
「近代的短編小説の創始者」の名短編。恋愛に挫折して泣く不器用な男。独歩って、君みたいなんだ。
近代的短編小説の創始者独歩の中・後期の名作を収録。理想と現実との相剋を超えようとした独歩が人生観を披瀝する『牛肉と馬鈴薯』、酒乱男の日記の形で人間孤独の哀愁を究明した『酒中日記』、生き生きとした描写力を漱石がたたえた『巡査』、ほかに『死』『富岡先生』『少年の悲哀』『空知川の岸辺』『運命論者』『春の鳥』『岡本の手帳』『号外』『疲労』『窮死』『渚』『竹の木戸』『二老人』。
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
97
国木田独歩2冊目。本作は中・後期の短編名作16編収録。以前読んだ「武蔵野」は手古摺ったけれど本作はどれも読みやすかったです。独歩の文章は無駄がなく、まるで一筆書きのように勢い良く疾走する感じが小気味よい。此処に収められた作品達は常に「死」が付き纏い、独歩が「死」の不可思議を究明しようと様々な角度で描いています。それが端的に現れてるのがタイトルその物の「死」という作品。「酒中日記」に登場する主人公の母親が私の母親とそっくりで何だか居た堪れなかったですが……。「少年の悲哀」「空知川の岸辺」の自然描写が美しい。2019/03/28
Major
48
《牛肉と馬鈴薯》数十年もの間空と僕との間に居る。中空を独り歩くこの作家の抱く宇宙を今以て十分に知り得ることができないでいる。高校時代教科書に掲載されていた『忘れえぬ人々』から得たあの文学的浪漫と一期一会の憧憬の洗礼を受けて以来、独歩は僕にとって忘れえぬ作家となった。以来独歩を読みたい独歩に戻りたいと思う時が必ず訪れている。この季節中空を行く独歩にまた会いたくなった。『牛肉と馬鈴薯』繰り返し50回以上は読んできた。→2025/09/06
たつや
48
今の感覚で読むと、ドラマもミステリーもギャグもない、明治時代の日常がたんたんと描かれているが、当時の情景描写や台詞が明治時代にタイムスリップしたようで、心地よく読めました。ただ、俳句調子になると、自分は少し苦手です。「お出でですかね」とか、もう日常では使う人が減った言葉に出会えると、それだけでも幸せな気がする。不思議だ。2016/12/01
優希
44
独歩中後期の短編集になります、ユニークな作品ばかりでした。寓話的な出来事に現実的な登場人物という対比が面白かったです。何気ない場面で笑い声が聞こえるような感覚に陥りました。実存の不安を捉えつつも、人生の楽しさがあると思います。2025/05/02
モリータ
15
小説としては「富岡先生」「酒中日記」「運命論者」がよかった。特に「酒中日記」は酒と金ってのが短編のなかでちゃんと重みを持ってる。「牛肉と馬鈴薯」は独歩のものの考え方を知るにはいい、という感じ。お信さんとの話は「欺かざるの記」に書いてあるとのことなので、古本ででも見つけたら。2013/09/06
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