出版社内容情報
雪の夜、木挽町の芝居小屋の裏手で、菊之助なる若衆が果たした見事な仇討。白装束を血に染めて掲げたるは父の仇、作兵衛の首級(しるし)。二年後。目撃者を訪ねる武士が現れた。元幇間、立師、衣装部屋の女形……。皆、世の中で居場所を失い、悪所に救われた者ばかり。「立派な仇討」と語られるあの夜の〈真実〉とは。人の情けと驚きの仕掛けが、清々しい感動を呼ぶ直木賞・山本周五郎賞受賞作品。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
るるぴん
3
源孝志監督による映画化が決まったようなので読んでみた。悪所と言われる江戸の芝居小屋に流れ着き、芝居にまつわる仕事で生計を立てる元武家人、隠亡、芸者の子らと父の仇討ちで江戸にやって来た若侍菊之助を巡る人情噺。各人生立ちは様々だが、芝居小屋を中心とした市井の暮らしぶりが人格形成に与える影響も含めて興味深かった。皆心の奥底に哀しみを抱えてる。大芝居については読み進むうちに、なんとなく想像ついた。けど、全体を通して面白かった。オムニバス形式で源監督好みの展開だな。映画化楽しみ♪時代物もたまには良いな。2025/09/27