内容説明
「村を壊します。あなたたちは丸呑みです。ごめんね」二足歩行の巨大な狸とともにやってきたあかりさんはそう告げた。村を焼き、村人を呑み込む“権三郎狸”の伝説は、古くからこの地に語り継がれている。あれはただの昔話ではなかったのか。中学3年生の住谷はじめは、戸惑いながらも抗おうとするが―。恩田陸、萩尾望都、森見登美彦が絶賛した、日本ファンタジーノベル大賞2017受賞作!
著者等紹介
柿村将彦[カキムラマサヒコ]
1994(平成6)年、兵庫県生れ。大谷大学文学部卒業。2017年『隣のずこずこ』(「権三郎狸の話」改題)で日本ファンタジーノベル大賞2017を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫綺
65
単行本にて読了。タイトル、表紙からして朗らかなコメディタッチだと思っていたのに、騙された!日本残酷物語ではないか。ひなびた農村へやって来た美人女性と生きた信楽焼の狸「権三郎狸」。1ヶ月後には住民全てが呑み込まれ、村は焼き尽くされるらしい。果たして結末やいかに!2021/01/11
優希
62
日本ファンタジーノベル受賞作。古くから言い伝えのある村というだけで面白そうだと思います。昔話で終わらず、語り継がれた伝説。謎は多いですが、それはそれで良し。ディストピア小説の傑作ですね。2021/06/20
おいしゃん
45
かわいい表紙とタイトルに惹かれて読んだが、大当たり! これぞファンタジー大賞作、そして森見さんが解説を書くだけある。たくさんの不思議に包まれているが、それらを深読みせずにサラッと読んだとしても、ハッとさせられる展開に拍手したくなった。 2021/05/06
えも
36
地元図書館の新着図書。題名と表紙が印象的だったので、特に書評も見ずに借りて読んだら、これはびっくり!▼「村を壊します。あなたたちは丸呑みです。ごめんね」ですよ。この地に語り継がれる、村を焼き村人を呑み込む権三郎狸の伝説、ですよ。まったく、恐ろしい筈なのに何ともスッとぼけたこの奇想天外さは、何なんだ。面白いじゃないか!▼というわけで、ラストも唐突だったし、この物語は何のメタファーなのか、とかあまり深く考えずに、楽しく読むことをオススメします♪2021/05/31
まさ
36
ふざけたようなタイトルと絵、怪しそうに感じたけど、森見氏らが絶賛していることもあり読んでみることに。突然やってきた狸によってあと1か月で村が滅亡するというのに、のんびりしすぎの雰囲気、そして品のなさ。回避に向けてアクションを起こしなさいよと思いつつ読み進めるうちに、なんだか深い話に感じてきた。思い出ってなんだろう?忘れないってどういうこと?そんなことも考えながら、自分なりに解決法を考えてみたら主人公が行き着く考えと一致(方法はともかく)。でも、きっとその結果は…と思うと困ってしまった。切なくもなる。→2020/12/18