内容説明
♪サッちゃんはねサチコっていうんだほんとはね―父が作詞した歌がテレビで流れると「今日はお肉が食べられる」と喜び合った。庄野潤三、三浦朱門らと親交を深め、やがて小説家の道を歩むが、膨大な資料集めと取材で印税は泡と消えた。子煩悩とは程遠い人、けれど残した詩はユーモアと哀切に満ちていて…。娘が語る「サッちゃん」作詞家の生涯。日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
目次
サッちゃん
かぜのなかのおかあさん
ああめん そうめん
ところがトッコちゃん
おとうさん
チャンバラ時代
モモジロウ
年めぐり―しりとり唄
熊にまたがり
幾千万の母たち(戦いよ、終われ)
ぽんこつマーチ
まっしろいこころ
塩・ロウソク・シャボン
スペイン階段の少女
おこってるな
世界地図
さよなら
びりの きもち
おおTAKARAZUKA1984
きつねうどん
チェ・タンゴ・チェ
おれはもうダメだ
鬱の髄から天井見れば
おなかのへるうた
著者等紹介
内藤啓子[ナイトウケイコ]
1952(昭和27)年、大阪生れ。東京女子大学文理学部卒。父・阪田寛夫の秘書や元宝塚歌劇トップスターの妹・大浦みずきの個人事務所の取締役を務める。『枕詞はサッちゃん―照れやな詩人、父・阪田寛夫の人生』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むぎじる
38
芥川賞作家という肩書よりも、童謡「さっちゃん」の作詞家として世間から認知されていた父親を、長女の視点から描いたエッセイ。幼い頃から破天荒な父親に振り回され、衝突ばかりだったそうだが、作者はよくぞまっすぐ道を進まれたと感心してしまう。喧嘩が絶えない夫婦だったので、父はいつ離婚してもいいように、「今日から俺をおじさんと呼べ」と子どもに言いつけたエピソードは、第三者としてはつい笑ってしまう。晩年、うつ病に悩まされる阪田寛夫を献身的に見守り、苦労をバネにして自分を「ハイエナ作家」と言ってしまう作者は強い人だ。2021/06/26
小太郎
19
この本はジャケ買い。読んでみて驚きました。童謡「サッちゃん」「おなかがへるうた」の作詞で知られる阪田寛夫との実生活を長女の内藤啓子さんが書かれたエッセイ。結構ハチャメチャで照れ屋な阪田さんが生き生きと描かれていて秀逸な一冊。驚いたのは次女が宝塚花組トップスターの大浦みずきさんだったこと(実はこの本読んで初めて知ったんだけど)ガンで急逝した妹さんのことはあまり触れていなくて、一体どうだったのか大変気になりました。「赤毛のなっちゅん」という本で書いてるらしいです。阿川佐和子さんとは幼馴染らしく対談が楽しい。2021/06/12
小豆姫
17
子どもの頃、何度も何度も口ずさんでた『サッちゃん』 ほろほろと思い出がほどけてきて懐かしく愛しい。『かぜのなかのおかあさん』も『ところがトッコちゃん』も… ひらがなの短いことばが、いじらしく切なく胸に広がる。童謡っていいな。娘さんがつづるこの本には、父親としてのダメなとこも弱さもぜんぶ温かいユーモアで包んでて、しみじみと愛を感じた。幼なじみの阿川佐和子さんとの対談も楽しい。2020/08/23
マツユキ
16
小学生向けの詩集で、気になった阪田寛夫。『サッちゃん』『おなかのへるうた』の作詞の方だったのか。 本屋さんで、ちょうど長女、内藤啓子さんのこの本が新刊コーナーに置いてあって、読んでみることに。 家族を次々と見送った作者の苦労は相当だと思いますが、明るく、楽しく読めました。芥川賞作家でもあったんですね。作家の三浦朱門さんとの交流に感動。外には良い顔をするけど、家では全然だったようです。作者が両親をおじさんおばさんと呼ぶ理由が…。宝塚のトップスターだった妹。西洋音楽と、日本語。別の世界に触れた気がしました。 2020/08/20
オレンジメイツ
14
表紙買いの本。サッちゃんの歌は好きだった。作詞されたのが阪田寛夫さん。芥川賞もとられている作家さんでもあるらしいが残念ながら知らない。「おなかのへるうた」も阪田さん。娘さんが少年時代の阪田さんから亡くなるまでを書かれている。自分の家族を冷静に愛情深く書かれている。娘さんは啓子さん。2020/12/29