内容説明
悪いと思いながら少女は母を蹴る。性欲のまま早熟な体を安売りする。死病に冒された女は夫ではない男に身を任せ、夫は当てつけのように女を買う。貞淑な祖母は孫を見捨て、清らかなはずの女は「一番愛している」からと悦楽に溺れていく。口には出せないたくさんの秘密。それは他人の痛みに手を差し伸べる“桜井さん”の中にもあった。R‐18文学賞読者賞作を含む、日常への裏切りに満ちた連作集。
著者等紹介
滝田愛美[タキタエミ]
1981(昭和56)年東京都生れ。東京外国語大学外国語学部(朝鮮語)、東京大学文学部(宗教学)卒業。2014(平成26)年、「ただしくないひと、桜井さん」で女による女のためのR‐18文学賞読者賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fwhd8325
70
「ただしくない」って、残酷な表現でもあるんだなと言うのが感想。4編の物語は、自分基準で言えば、あり得ない。だけど、それが「ただしくない」とはかぎらない。「コンビニ人間」で普通って何だろうと考えたのと同じように、正解はないのでしょう。この小説が描くある種の歪さは、ある意味で人間を正しく描いているような気がしてなりません2020/05/10
JKD
19
それぞれが内に秘めた悪を押さえ、顔で笑って心で毒づく。自分がものすごく悪いことしてる、あるいは考えてるのに誰にも気付かれない。良いことと悪いことの境目という微妙な感覚がリアルに伝わる。結局いい人なんてこの世にいないんでしょうね。2020/05/24
coco
19
みんなちょっとずつただしくない連作短編。4人の語り口で登場人物たちの事情が明らかになっていく。ちらっと語られる人物像に、最初はどうしようもない人もいるな、と思っても読みすすめていくと、そう行動してしまったのもしょうがなかったのかも、と納得してしまって…日々触れているニュースの裏側に、どれだけの語られない人の人生がつまっているのだろうと考えてしまった。このなかでいちばんただしくないひとは桜井さんなのではないかと思った。最初と最後の僕の前身を〜と、わたしはまだ、わたしを知らないを続けて読んで、ぞわぞわした。2020/05/05
りちゃ
9
連作短編集。ただしくないとわかっていても、足を踏み入れてしまう。ただ、あまりにもただしくないことが偏りすぎているような…。最後の展開には正直、げんなり。藤崎さんはやかましい。2020/09/18
駒
6
「正しくない」ことをしてしまう彼ら。でも普通の人達だとも思った。そこが怖いのかもしれない。それぞれの歪みが生々しい。私には彼らを断罪するのは難しい。切なく悲しかった。2023/02/20