内容説明
渋谷は「谷」である。谷底の渋谷駅からスクランブル交差点を渡って道玄坂をのぼり、坂道を右に折れると、そこは円山町。かつて都内有数の花街として栄えたこの街は、謎多きあの東電OL殺人事件の現場でもあった。街の生き字引や現役芸者、風俗店主らの肉声を採取し、事件の痕跡を辿る。色と欲の匂いに誘われて、路地と坂の迷宮を探訪するディープ・ルポ。
目次
第1章 花街の記憶
第2章 円山芸術
第3章 丘の上のホテル街
第4章 風俗の街として
第5章 十八年目の東電OL事件
第6章 死と再生の街
著者等紹介
本橋信宏[モトハシノブヒロ]
1956(昭和31)年埼玉県生れ。ノンフィクション作家。早稲田大学政治経済学部卒業。ノンフィクション・小説・エッセイ・評論と幅広い活動を行う。2019(令和元)年、『全裸監督村西とおる伝』がNetflixでドラマ化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けいこ
43
渋谷円山町の歴史と、後半は神泉駅近くで起こった東電OL殺人事件を追ったルポ。いつもラブホ街を足早に通り抜けているけれど、時に迷って気付くと神泉に出てしまう。この2つの場所は隣り合っているだけだと思いきや、神泉からの湧水で料亭ができ、そこから円山町が花街として栄えたとの事。三味線の音が響き、芸者さん達が闊歩していた花街が時を超えてラブホや風俗店、ライブハウスの街にまで変貌する。これから東急本店辺りも再開発される様だけれど、その近くにこんなディープな街があってもいい。知っている場所だけにとても興味深く読めた。2021/05/24
つちのこ
37
渋谷の裏の顔、円山町。この町を知らずに渋谷は語れないと思った。著者お得意な風俗ルポよりも興味深かったのが円山芸者の話。三善英史のヒット曲の裏話も含めて、現役の芸者へのインタビューが面白い。芸者遊びなどできるはずもないが(笑)、花柳界の専門用語や京都芸者との違いなど勉強になった。東電OL事件については佐野眞一氏の著作などずいぶん読んだが、当時の愛人からの直接証言といった切り口が違う著者の取材力に驚いた。佐野氏の本には愛人の存在についてはほとんど触れていなかったと思うので。渋谷の奥深さを知った一冊となった。2026/05/24
猫丸
21
京王井の頭線渋谷から2駅目は超マイナー駅「神泉」だ。懐かしいな。1990年頃、世間が寝静まった深夜、井の頭線が神泉駅のトンネルを出たあたり、我々バカ学生の一団は柵を乗り越えて線路に降り立ち、そのまま線路上を下北沢まで歩いた。紛うことなき最短ルートである。その後かの有名な東電OL殺人事件が起こったのは渋谷円山町、神泉駅の目と鼻の先であった。道玄坂よりもセンター街方面でブラブラしていた我々にとって盲点の花街が宇田川町反対側に広がっていたのには、迂闊にも気付かなかった。超セレブの住む界隈、松濤のほど近くである。2020/04/09
JKD
18
渋谷は谷底という立地の特徴から紐解かれ、夜は非日常の世界に変貌するという円山花街発展のルーツに納得。学校で習う歴史よりこっちの方が断然面白い。ただ大阪の似たような地域に比べると洗練されて上品。悪く言えば孤独で冷たい印象が強い。マニア向けの特殊風俗店の紹介とか過去に起こった事件のくだりもネタとして悪くはないが、個人的には物足りなさを感じてしまう。2020/04/05
多喜夢
17
「渋谷って路地と坂が面白いんですよ」まさにその通り。Bunkamuraや松涛美術館へ出かけた折、ついでにディープな円山町を散策するのが楽しみ。道一本隔てただけで松濤と円山の街の雰囲気のギャップの大きさに面食らう。円山町の方がワクワクドキドキする。しかしこの本が文庫化になるこの5年の間でも渋谷の街は大きく変わったなぁ。そうそう隈研吾のトイレが鍋島松濤公園にできたみたいなので近々、出かけてみたい。2021/07/05
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