感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
inami
20
◉読書 ★3.5 読むのにすごく時間がかかった(かけた)。頭がスッキリしているときに読まないと、なかなかすんなりと入ってこない。濃くて重いという印象、国語の教科書や試験問題に取り上げるのにはもってこいの内容だと思う。亀井氏は「文芸批評家」だが、解説の山本氏は「文明批評家」と呼ぶのがよいのではと述べている。というのも、文芸はもちろん、人生論、宗教論、美術論、史論など、扱っている内容がとにかく広汎でとにかく濃いからだ。兼好法師と久米仙人や内村鑑三と森鴎外の対話が面白かった。なんだか癖になりそうな作家ですね・・2019/10/10
ダイキ
6
「日本人の指の微妙さは、おそらく米つくりを 根柢としたものであらう。」、「米食を次第にやめて行つたならば、将来は次第にさうなると思ふが、日本の芸術は大きな変化をうけるだらう。」、「自分の文章にいはゆる謙遜な言葉を挿入することによつて、はじめて安心してゐる人がある。一種の奴隷根性だ。自分の窮極の言葉を傲慢と罵られるのが何故恐ろしいのか。」2015/06/18
いのふみ
5
柔和な小林秀雄をイメージしたが、違うか。理想的には、高校生~大学生くらいで読みたかったかも。2020/05/13
Hiroki Hatano
2
宗教、善悪、自由、愛などのテーマについて亀井氏の思想が流麗な文章で綴られている。「自己の安全が保証された上での善は、善の余剰価値に過ぎない」とか、「信仰の敵は懐疑ではなく、軽信である」といった内容の厳しい言葉が多い。ただ、その厳しさと葛藤し、そのうえで智慧を得ること(邂逅)こそが幸福だと言い切る。人生は矛盾だらけで、生きていくのに不安が大きいが、矛盾や不安を内包しながらも、何か意味あることをし続けなければ幸福は得られないのですね。深い言葉が多かったので、人生の節目で読み直したいと思った。2016/01/07
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