内容説明
駅前交番から突然、刑事一課強行係に異動となった原田貢は慌てていた。次々と舞い込む変死体の見分、作成する図面や調書の膨大さ、ツルハシの使い道…。“初めて”だらけの刑事見習いを懸命にこなす中、貢は一本のタレコミを受ける。十年間逃げ続ける指名手配犯「警察官殺しの美彌子」に瓜二つの女が駅前でホステスをしていると。時効完成まで僅か二箇月。刑事らの執念の追及捜査が今始まる。
著者等紹介
古野まほろ[フルノマホロ]
東京大学法学部卒業。リヨン第三大学法学部修士課程修了。学位授与機構より学士(文学)。警察庁1種警察官として警察署、警察本部、海外、警察庁等で勤務し、警察大学校主任教授にて退官。2007(平成19)年、『天帝のはしたなき果実』で第35回メフィスト賞を受賞し、デビュー。有栖川有栖・綾辻行人両氏に師事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鍵ちゃん
43
駅前交番か突然、刑事一課強行係に異動となった原田貢は慌てていた。次々と舞い込む変死体の見分、作成する図画や調書の膨大さ、ツルハシの使い道。初めてだらけの刑事見習いを懸命にこなす中、貢は一本のタレコミを受ける。10年間逃げ続ける指名手配犯「警察官殺しの美彌子亅に瓜二つの女が駅前でホステスをしていると。時効完成まで僅か2ヶ月。今回は貢のあたふたぶりより、刑事のお仕事や階級の上下関係が主にありますね。刑事の仕事の大変さがわかって良かったかな。2024/03/01
dr2006
33
新任シリーズ第二弾。本作も警察組織と所轄警察署の刑事一課の仕事の説明に多くが費やされるが、本格ミステリーへの助走と伏線の投入であり、特殊組織とその伝統的な人間関係の暴露は寧ろ本作の味である⒲2年前に愛予県愛予署の刑事になった上内亜梨子と駅前交番勤務から突然刑事に抜擢された新任刑事の原田貢、この同期二人の視点で物語は展開する。愛予署は傷害致死の指名手配犯が時効3か月前になり、その検挙に威信をかけている。そんな中、貢は手配写真に似た女が駅近くのスナックで働いているとタレコミを受ける。面白い!このまま下巻へ。2022/05/30
geshi
30
元警察キャリアで現場にいた著者だからこそ描ける警察のリアルと本格ミステリの融合の第二弾。職業人が新たなセクションに入り、より重い責任と憶える仕事に戸惑いながらも、叩いて伸ばす方式で成長していくお仕事小説の面白さは前作同様。一般人には見えない刑事の文書仕事の膨大さ、死体検案の実際、刑事として持つべき心構え、一つ一つが詳細で読んでいて大変さが伝わる。十年前の警察官殺しが一気に動くかという上巻ラストの展開が、それまで刑事たちを見ている分、よりスリリングに感情移入してしまう。2020/06/24
ぶんぶん
24
【図書館】面白い! 単なる刑事物と違って普段の警察機構を覗きこむような雰囲気がある。 元は警察官という事だが、その全貌を得々と描いている。 小説としては、どうなるのかは判らないが、他にはない作家さんである。 時効を控えた女被疑者、果たしてどうなるか、急いで「下巻」に!2023/01/22
ロボット刑事K
16
以前読んだ新任巡査と同様に、刑事になりたての新任の心構えやルーチンワークが描写されます。刑事を志すものにとっては教科書みたいな内容で、非常に為に成りますが、一般人がこれ読んで面白いのでしょうか?新任のミツグにとってアリスの存在は非常に心強いと思いますが、逆に駆け出しだった頃のアリスの苦労が忍ばれますね。すわ指名手配犯逃走か?捜査の行方が気になります。期待を込めて☆4つで。私は正義の味方。警察官を、とりわけ刑事をリスペクトしてます。それだけに不甲斐ない刑事には憤りを感じます。それがフィクションであっても。2022/09/21