出版社内容情報
それは人生でたった一人、ボクが自分より好きになったひとの名前だ。気が付けば親指は友達リクエストを送信していて、90年代の渋谷でふたりぼっち、世界の終わりへのカウントダウンを聴いた日々が甦る。彼女だけがボクのことを認めてくれた。本当に大好きだった。過去と現在を SNS がつなぐ、切なさ新時代の大人泣きラブ・ストーリー。あいみょん、相澤いくえによるエッセイ&漫画を収録。
燃え殻[モエガラ]
著・文・その他
内容説明
それは人生でたった一人、ボクが自分より好きになったひとの名前だ。気が付けば親指は友達リクエストを送信していて、90年代の渋谷でふたりぼっち、世界の終わりへのカウントダウンを聴いた日々が甦る。彼女だけがボクのことを認めてくれた。本当に大好きだった。過去と現在をSNSがつなぐ、切なさ新時代の大人泣きラブ・ストーリー。あいみょん、相澤いくえによるエッセイ&漫画を収録。
著者等紹介
燃え殻[モエガラ]
1973(昭和48)年神奈川県横浜市生れ。都内のテレビ美術制作会社で企画デザインを担当。2017(平成29)年、ウェブサイト「cakes」での連載をまとめた『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
282
過去を振り返る自伝的で、でもフィクション部分もある、という小説。主人公「ボク」が流されて生きていて、終わってしまった彼女との関係をウジウジと考えて囚われている。理由が分からず終わってしまった、って事で引きずるものがあるのは分かるけど「あの時が一番幸せだった」って感覚が私にはないので今ひとつ共感できず。みんな変わっていく、いつか終わる、っていうのが「ボク」は悲しいらしい。分かるけどね。「生きていると言葉なんかじゃ救われない事ばかりだ。ただその時に寄り添ってくれる人がひとりいれば、言葉なんておしまいでいい。」2019/04/06
こーた
244
90年代の初め頃、コピーライターたちが中心となって、生活はファッション化された。その流れはいまインターネットの力を得て、世界中に「いいね」が飛び交う。SNSは共感を呼ぶ装置だ。そこから飛び出したこのはなしに共感するのは、だから当たり前のようにもおもえる。裏を返せばここには共感「しか」ない。並ぶのは耳心地のいい飾りばかりで、底に潜む心情や、不都合な出来事は伏せられていると感じる。語り手をさいごまで信頼できないのだ。この著者はあまり小説を読まないのではないか。何となくだが、そんな気がする。2019/08/25
Nao Funasoko
231
珍しく電車に乗る時に手持ちの本がなかったので駅ビルで深く考えずに購入した薄っぺらな文庫。薄っぺらな時代を薄っぺらく剥がし取ってることがわかってしまう故に読んでいてこっ恥ずかしくなる小説。当時『Hot-Dog PRESS』のSEX特集を書いていた人が長年身近にいるので恥ずかしさ倍増(爆)。2018/12/15
馨
228
燃え殻さんのエッセイが良かったので購入。文体は好きです。内容は、私には残念ながら合わなかったかな。SNSで突然来た、自分より好きになった元カノからの友達申請から、過去を振り返る主人公の話。ジブリで言うところの思ひ出ぽろぽろ的な感じかな。過去の主人公の未熟さや大人気なさとか若さゆえ不器用な過去がもどかしくもやや分かる気もする。昔の時代のイベント(ノストラダムスとか)が懐かしかった。昨今はSNSで過去の人の近況等知らなくて良いことまで知れるしボタン一つで繋がれちゃう時代だけど果たして幸福なのだろうか?2023/07/15
yoshida
185
私も燃え殻さんと同世代なので、作品に自分の過去をシンクロさせ読む。FBで突然に浮かび上がる自分の過去。私も綺麗な別れをしなかった過去の恋人がFBで現れ、複雑な心境になった。もちろん、お互いに無視して私も程なくFBから遠ざかりました。この作品を読んでいると、90年代からの自分の通り過ぎた日々が質感を持って甦る。良く聴いた音楽。好きだった場所。もう会わないであろう人々。その郷愁と印象的な言葉が淡く眩しく輝く。そして私の心に鈍い痛みの爪跡を残した。人生は戻れない。過去は甘美な郷愁となる。荒削りだが印象的な作品。2018/12/08