内容説明
尾形信吾、六十二歳。近頃は物忘れや体力の低下により、迫りくる老いをひしひしと感じている。そんな信吾の心の支えは、一緒に暮らす息子の嫁、菊子だった。優しい菊子は、信吾がかつて恋をした女性によく似ていた。だが、息子には外に女がおり、さらに嫁に行った娘は二人の孫を連れ実家に帰ってきて…。家族のありようを父親の視点から描き、「戦後日本文学の最高峰」と評された傑作長編。
著者等紹介
川端康成[カワバタヤスナリ]
1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ケ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て’21年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。’68(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。’72年4月16日、逗子の仕事部屋で自死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Lara
62
再読。会話も、それぞれの文章も短く、意味が明瞭で、判り易いことを改めて認識。ということで、読み易い。信吾はどうやら、会社の偉い人で、その息子、修一も同じ会社の役員か? 会社の業務内容、在り様の記述がなく、もっぱら家族間の人間関係、それぞれの気持ちの描写が中心である。会社は大丈夫か、と余計な心配をしてしまう。 2025/04/21
梅崎 幸吉
10
作者の透明で深い悲哀、孤独感が空間に溶け入りただよふ。 芭蕉の「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の句が浮かぶ。
Hal
6
読了後数日たったものの、感想がまとまらない。とりあえず覚書として登録。 当時、鎌倉から東京までの通勤って何時間かかっていたんだろうかと、どうでもいいことは書けるんだが。。2023/08/22
ケロ子
2
https://note.com/enjoyrarara/n/na3290470e9672024/06/22
yoshiyuki okada
2
成瀬巳喜男監督の映画を以前観たとき、原作を読んでみたいと思った。父親役の山村聡と息子役の上原謙は同世代だが、不思議と親子になっていたことを思い出す。2024/04/03