内容説明
私は時間を味方につけなくてはならない―妻と別離して彷徨い、海をのぞむ小田原の小暗い森の山荘で、深い孤独の中に暮らす三十六歳の肖像画家。やがて屋根裏のみみずくと夜中に鳴る鈴に導かれ、謎めいた出来事が次々と起こり始める。緑濃い谷の向こう側からあらわれる不思議な白髪の隣人、雑木林の祠と石室、古いレコード、そして「騎士団長」…。物語が豊かに連環する村上文学の結晶!
著者等紹介
村上春樹[ムラカミハルキ]
1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『1Q84』(毎日出版文化賞)がある。短編小説集、エッセイ集、紀行文、翻訳書など著書多数。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきぽん
187
妻と別れ、小田原の山荘に一人住む画家の物語。ファンタジックで、ミステリアスで、ホラーな村上ワールド。その物語は暗喩に満ちており、私如きの読み手にはテーマは容易に読み解けないが続きが気になる。2019/04/09
tokko
158
ハードカバーは知り合いから借りて読んでいたので、二度目になる。一度目は無我夢中で一気に読んだけれど、文庫は第1部からだいぶ間隔があいて第2部が出るようなので少しずつ読むことにした。(それでもあっという間に読めちゃうんですけどね)何かを失ったり、世間から隔絶されたり、異世界と交わったりこれまでのディティールと共通する部分があるんだけどやはりおもしろい。今回はゆっくり読めたので、ショルティの指揮する「ばらの騎士」のLPを買ったり、上田秋成の「二世の縁」を読んだり触発されながら楽しめた。2019/03/15
rueshё
150
20年以上前から読んでる作家だから読みやすい。サクサク入ってくる。デビュー作からブレずに、独特な形容が好きな人なんだなあ。この巻は起承転結の「起」の部分なんだろうな。物語設定(人物設定、状況設定)な感じ。2019/11/30
かみぶくろ
130
もう文庫化、ありがとう新潮社。かなり落ち着いた立ち上がり。妻を失うところからスタートしたりは思い切り既視感だが、もはや村上春樹的様式美と言っていい堂々とした佇まいすら感じる。少なくとも第一部上巻においては、いつもよりけっこうリアルな路線。一人称で「私」を使っているのもあり、文章もお得意の比喩もかなり控えめな印象。個人的に好きな雰囲気ではあるが、ここからどんどん非リアリズムな世界に移行していくんだろう。それはそれで楽しみ。2019/03/18
ミッフー
130
いよいよ始まり始まり✨ 予想通り、理屈っぽく面倒な男が今回も主人公😅また離婚した女房もよく似た屁理屈屋💦セフレの人妻が二人いて😍相変わらずオペラ、クラシックといった高貴な音楽を愛し、ジャズピアニストの奇人セロニアス・モンクも好み、自炊をよくやり特に頻繁にサンドイッチを作り、コーヒー、ワイン、ビールを飲みながら食す🍴ここまでは想定範囲の村上人物設定、特段驚きはなし🤔半ばから登場した肖像画クライアント免色氏登場により物語が動き出す👀免色氏の過去、敷地内石の下の洞穴、鈴、一体❓❓❓下巻に進みます👣2019/03/09
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