出版社内容情報
村上 春樹[ムラカミ ハルキ]
著・文・その他
内容説明
和田誠が描くミュージシャンの肖像に、村上春樹がエッセイを添えたジャズ名鑑。ともに十代でジャズに出会い、数多くの名演奏を聴きこんできた二人が選びに選んだのは、マニアを唸らせ、入門者を暖かく迎えるよりすぐりのラインアップ。著者(村上)が所蔵するLPジャケットの貴重な写真も満載!単行本二冊を収録し、あらたにボーナス・トラック三篇を加えた増補決定版。
目次
チェット・ベイカー
ベニー・グッドマン
チャーリー・パーカー
ファッツ・ウォーラー
アート・ブレイキー
スタン・ゲッツ
ビリー・ホリデイ
キャブ・キャロウェイ
チャールズ・ミンガス
ジャック・ティーガーデン〔ほか〕
著者等紹介
和田誠[ワダマコト]
1936(昭和11)年生れ。多摩美術大学卒業。デザイン会社に九年勤め、以後フリーのイラストレーター、グラフィック・デザイナー。『麻雀放浪記』『真夜中まで』ほか映画監督としての作品もある。受賞は文春漫画賞、講談社エッセイ賞、菊池寛賞、毎日デザイン賞など
村上春樹[ムラカミハルキ]
1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。’79年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
118
和田誠のイラストに、村上春樹が文章を綴る。そして村上春樹のジャズLPコレクションから厳選の一枚を紹介する。ジャズに詳しくないので、ここで取り上げられたジャズ・ジャイアントは必ずしも有名どころばかりとは言えず、だからこそ味のある本になっているのでしょう。仕事にする程ジャズにのめり込んだ春樹氏と、音楽を仕事にせずイラストの道を選んだ和田誠の趣味が一致してるのは、60年代に青春を過ごした共通点だけではないのでしょう。ジャズ愛に溢れた一冊です。村上春樹にとってのthe jazzとは、スタン・ゲッツなのですね。2023/09/06
やきいも
105
和田誠さんが書いたジャズミュージシャンのイラストに村上春樹がエッセイを加えた本。短編小説のようなあざやかな光を放ち、何度も何度も繰り返し読んでしまう箇所。それはマイルズ・デイヴィスに関する文章(本書の102ページ)。 ジャズへ抱く村上春樹の愛情がぴしぴしと伝わってくる。「世界に恋をする」(本書76ページ)ことの熱さを伝えてくれる本。2016/10/23
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86
🌟🌟🌟🌟☆。著者のお気に入りのジャズプレイヤーについて書かれたエッセイ(?)。ジャズを聴く俺は索引的にこの本を読んだ方が効果的だと思った。べた褒めする訳でもなく思った事、感じた事をなるべくそのまま書こうとしている事が伺えた。しかし、よくもまぁこれだけの人数のプレイヤーに対して全員違うアプローチで書けるもんだ、と思った。中にはちょっとなに言っているのか解らないヤツもあったけどね。2019/04/18
Kajitt22
67
和田誠のイラストレーションによるジャズメンのポートレートに触発され、村上春樹が文章でデュエットした粋な1冊。小澤征爾との対談もそうだが、村上春樹の音楽の聴き方の深さには、何度読んでも圧倒されてしまう。その深い聴き込みをジャズらしく洒脱で粋な文章にしている。後半、シナトラとベネットを比べて、ジャズには狂気や自己矛盾や挫折や悪意や妄想や崩壊の影がなくては、の一文が印象的だった。確かにシナトラにはある。再読。CDを何枚かポチってしまった。2019/07/02
めしいらず
60
フリーがジャズ喫茶を席巻していた当時、音楽を小難しく聴く人々のありように背を向け、ムラカミ青年は自分の嗜好の趣くまま。だから彼がジャズ音楽を語る時、そこには嫌味が生じなくて好もしい。ビリー・ホリデイ、ジェリー・マリガン、レスター・ヤング、ルイ・アームストロングの章が素敵。LPが高価だった時代。やっとの思いで買った一枚を心を込めて何度も聴く。何て不便で良き時代だろう。好きな曲だけを集めて容易く持ち歩ける昨今。その一枚、その一曲に傾ける情熱はどんどん希薄になっているような気がする。便利=幸福とは限らないのだ。2018/11/30