新潮文庫<br> 女であること (改版)

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新潮文庫
女であること (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 682p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101001166
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

女人の理想像に近い弁護士夫人市子や、市子を同性愛のように慕いながら、各自の恋愛に心奥の業火を燃やす若い二女性を中心に、女であることのさまざまな行動や心理的葛藤を描いて女の妖しさ、女の哀しさをみごとにとらえた名作。ここには、女が女を知る恐怖、女の気づかぬ女の孤独と自負が、女の命のなまなましさと無常の美とをたたえながら冷酷に照らし出されている。

著者等紹介

川端康成[カワバタヤスナリ]
1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ケ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て’21年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。’68(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。’72年4月16日、逗子の仕事部屋で自死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

366
川端はボーヴォワールの『第2の性』の「女であるということは、実に奇妙な、不純な、複雑ななにかであって、どんな形容をもってしても、それを現わすことは出来ない」という部分を引用している。そして、本書は、まさに「女であること」の川端による小説的解答である。作中で最も変幻自在なのは、さかえであり、彼女の行動が物語のプロットを形成してゆく。もちろん、それは同時に周囲の者たちを翻弄することでもあるのだが。彼女に比べれば市子も妙子も、影が薄くなるのだが、それぞれにやはり「女であること」の別の側面を表出しているのである。2018/01/08

優希

140
面白かったです。同性愛を思わせるような3人の女性たち。美しくも残酷さ。様々な行動や心理を通じて女であることの哀しみを感じました。女が女を知ることの怖さや、女ならではの孤独が浮かび上がっています。男性目線で描くからこそ見える女という存在であるが故の生々しさがありますが、だからこそ描き出せだ世界だと思います。2017/02/03

(C17H26O4)

71
女。女であること。まさしくそうなのだ。あらゆる感情や思考が女として分かる。素直さも無邪気さもいやらしさも、わたし、知っている。市子の慈愛の心。いっそ身を委ねさらわれたい願望。臆病な妙子の抑えられない気持ち。さかえの自意識の高さや奔放さに潜む哀れさも、わたしの中にある。川端の文は、なめらかできれいな日本酒のようだと思う。鼻腔の奥にふくよかな香りが広がり、するすると喉をつたう。2019/04/27

Gotoran

58
主人公の佐山という弁護士夫人の市子と同じ家に暮らす二人の若い女性(大阪の家出娘さかえと罪人の娘妙子)の(男を巡る)行動と心理描写が詳細に描き出されれる。淡々としたストーリー展開の中で、不意に驚かされるような表現があったり、吐く息の白さや女性たちの肌の白さを連想させるような女の妖しさ、哀しさを垣間見ることができる川端独特の表現描写に感服させられた。2018/10/09

nina

43
女であることの内側を男性作家の手でこうも微に入り細に入り描かれてしまうと、その手腕の見事さに感服しつつ、グロテスクな陳列物を見ながら実は自分もその陳列物の一つであることに気がついてしまったような、怖いもの見たさとスリル感、そして面映ゆさが入り交じる妙な読後感だった。エキセントリックで自由奔放な美少女さかえと、暗い影を背負った美少女妙子、明るく上品な令夫人市子。この3人の揺れ動く内面が非常に鮮やかに活写されており、人間関係を複雑に絡ませつつ次から次に思いがけない方向へ物語を展開させていく牽引力が素晴らしい。2015/03/26

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