出版社内容情報
中国から伝えられた漢字が変化して生まれ、優美・典雅な美を備えた「かな」。その新しい展開をめざして、「中・大字かな」の名品を現代書道界を代表する書家が臨書し、古典伝承と創造に向けて示唆に富んだ作品を示す。
中国から伝わった漢字は変化して「かな」を生み、やがて日本独自の優雅・典麗な美を備えた「かな」は発展して平安朝に至り幾多の名品を生んだ。更にその後も「かな」は枚挙にいとまのないほどに数々の名筆を書道史に残しながら今日に至っている。 本大系では第9・10巻が「かな」臨書であるが、両巻の内容は学ぶ方向の違いにより分けている。第9巻では原帖の字の比較的小さいものを扱い、原寸大に臨書し、帖・巻子などに仕立てることをめざして学ぶことを想定した。 これに対し、第10巻では中・大字に属するものを取り上げる。取り上げる名品は、第9巻がすべて平安時代のものであったのに対し、「正倉院文書」から「良寛」までを幅広く扱い、額・幅などを想定し自由な大きさに書くことにより、より創作に結びつけた学び方ができるよう意図している。本巻掲出の二十四作品のそれぞれについて、現代かな書道界を代表する書家が、深い学殖と修練のもとに創作に向けて印象的臨書、写実的臨書、表現的臨書の順に段階的に臨書し、示唆に富む作例を提示している。
内容説明
模写する臨書から表現する臨書へ。かな古典の作品化に新しい道をひらいた中・大字かな。現代かな書道界の権威が印象・写実・表現に書き分けて臨書。あすの書教育を示唆する臨書教則本の決定版。臨書表現の実技。
目次
奈良 正倉院文書 韓藍歌―(中字臨書)
奈良 正倉院文書 仮名文書―(大字臨書)
平安 藤原有年 有年申文―(中字臨書)
平安 伝記貫之 自家集切―(大字臨書)
平安 伝紀貫之 寸松庵色紙―(中字臨書)〔ほか〕