- ホーム
- > 和書
- > コミック
- > 青年(一般)
- > 小学館 ビッグCスペシャル
出版社内容情報
『シグルイ』鬼才による「特撮」讃歌!
大学時代、主人公・実相寺二矢(じっそうじ・おとや)は
特撮サークル「特美研(特撮美術研究会)」に所属し、
仲間たちと「理想の特撮」を追求する。
現実世界に干渉しうる特撮ヒーローはいかなるものか?
それを可能にするための特美服(特撮スーツ)は
いかにあるべきか?
自分たちの特撮への熱き思いを
実現するために邁進する実相寺たち。
それがなぜ“人斬り実相寺”と呼ばれるに至ったのか!?
今、ヒーローが裁かれる!
『シン・ウルトラマン』監督・樋口真嗣氏
「脳が焼き付いてジンジンする。
何と謂う事だ!
俺が何十年とやってきた特撮にはこんな真実が秘められていたとは!
長きにわたる弛緩に終わりを告げ、昂漲していく我が魂魄(プシケー)よ!
ありのままの自分よ!
宇宙の実相と対峙し今こそ扉を開くのだ!」
『アオイホノオ』作者・島本和彦氏
「ヒーローの概念が素晴らしく俺を置いてけぼりにする!!
ついていけない孤高の基準で思考し続ける、山口ヒーローの美学に憧れます!!」
【編集担当からのおすすめ情報】
今回の第2集を最後まで読んで頂ければ、本作品で何がなされるのか必ず分かります!!!是非とも手にとってみて下さい!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
22
ヒーロースーツは当然のことながら空洞だ。外皮だけのからっぽの中に人が入り、装着する。主人公・実相寺二矢は、自身を空虚な人間と捉えている。「僕はそう器に過ぎない」それはつまり、実相寺自身がスーツであることを示している。「それこそが僕の強さだ」そこが本作のユニークな点であり、芯でもある。第2巻で物語は大きく動き出す。特美研の過去の事件が描かれ、「劇しい光」体験が語られる。「山ほど見て見ぬふりをしてきた。でも仮面をつけた僕はそうはならない。(つづく)2023/01/29
空のかなた
19
1刊では、この物語はなんなのか?戸惑うしかなかったが2 刊を読んでおぼろげながらも「劇光」というタイトルの意味に近づけた。殺傷能力をもった特美服、自分たちが製作した特撮ヒーロースーツ。これを着用しているときは、見てみないふりはできない。良心に基づき悪事を、悪人を成敗する。それが正当防衛を超えた過剰防衛と言われようとも。特美服と一体化しヒーローと人間が一体化したときに「劇しい光」という超越体験に包まれる。なんとも難解で、読み手を選ぶような作品。2023/06/01
のれん
12
サークルの新歓で通り魔対策スーツ実演はレベル高すぎる。 災害、障害といった現実の暴力に対してもヒーローは必要だ。それは現実の消防や警察であるべきだが、血気盛んな若者は聖戦士に成りたがる。 変身願望の表裏を見事に表現して見せた。今作は作者の趣味が全開で、戦後間もない頃にあった自己犠牲の善性(皇国利用された面含め)に強い信頼を感じる。 これを美徳と思う限り、日本人の民族性は良くも悪くも滅んではいないと思う。2022/10/29
コリエル
9
現代日本社会におけるヒーローやヴィジランテと呼ばれる存在を厳密に定義し、ある孤独な魂の男を照らし出す物語かと思っていたが、終盤になって様子がおかしくなってきた。現実に特撮が侵食していくタイプの話はあまり上手くいかないパターンが多い気がするのだがはたして。2022/12/01
ぷほは
8
特撮という非実在の実在性をつきつめる作法は、そのまま非現実的な勝利を目指した戦間期に重なり、さらには「劇しい光」という表記が戦後漫画史における「劇画」の遺伝子を受け継いだ表現によって昇華される。この二重三重に積みこまれた意志と実践の重みの中に、われわれ読者は確かに社会規範を超越した英雄の姿を垣間見る。規範からの単なる逸脱でなく、規範に未到達であることでもなく、ただその向こう側を見据えることで救い、救われる何か。それをわれわれは物語の中に感じる。ただ出来事の時系の羅列ではない、不確かな光の先に進む道だ。2022/11/04