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出版社内容情報
どこまで行けば、自分の漫画に出会えるか。
肩書きを失った編集者が漫画家を訪ねる。
自信を失った漫画家が旧知の編集者と会う。
進むべき道に迷った若者が本当の自己を見つめる。
東京の空の下、漫画が生まれる。
確かなものが
何もない時代に
人は何かに
人生を懸けることが
できるのだろうか。
【編集担当からのおすすめ情報】
フリースタイル誌『このマンガを読め!』第1位、
宝島社『このマンガがすごい!2022』オトコ編・第5位、
松本大洋氏の最高傑作との呼び声も高い最新作、待望の第2集です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
天の川
54
松本大洋、本当にたまらない。漫画家たちの苦悩や呻吟が押し寄せてくる。そして、彼らを支えようとする編集者の思い入れの深さも。作品を創作することはかくも苦しいものなのか。時流に合わなくなり学習漫画の挿絵で糊口をしのぎながら母の介護を続けているものの、力をふり絞って新作を描く西岡、自分の才能の限界を感じながらポーカーフェイスを保つアシスタント草刈、売れるために矜持をへし折られたものの義理を通そうとする飯田橋、一躍脚光を浴びたものの不安を募らせる青木・・・。読むほどに切ない。漫画への情熱がヒシヒシと伝わる一冊。2022/11/15
キジネコ
39
マンガにしか表現できないモノがあるんやなあ…て静かに思います。命を削る様にして描くマンガが作者自身から遠ざかっていく。足掻き藻掻くほどに大切なものと埋めがたい距離の広がりを止められない焦燥。読者は余白の重さに沈黙し、一話一話最終コマに描かれた街角の風景の何処かに自分自身が居る事に思いを致す。分かれた妻と子を見送った男の背中。欲したモノを手にして戸惑う男。大事なものの優先順位が変わってしまった女の諦観。分水嶺を渡る不安に疲れた若者。それは全てが私達の日常。マンガでしか味わえない世界、きっとそう。余韻が。2023/06/23
ミエル
38
登場人物の立ち位置も理解できてきてストーリーが動き出した。それぞれが、膝がガクッとなるような挫折や苦しさと向き合い、それぞれの方法やスピードで困難と並走するような描写にグッとくる。不快なベタつきのない優しさと程よい突き離しが心地良い。読み進めながら、意味のない涙がじわっとするのは何故だろう。私が人のやさしさに弱いだけ?笑 大きな事は何も起こらないストーリーなのに久しぶりに心がギュッと刺激された気がする。2024/06/14
ぐうぐう
34
『東京ヒゴロ』各エピソードのラストカットは、いつも街の遠景が1ページ1コマで描かれる。建物がひしめき合う風景の中で人の姿は小さく、それは人間のちっぽけさを伝えるためのカットなのかと錯覚してしまう。「こっから見る東京…やっぱ格好エエなァ」と青木は言う。「高校辞めて出てきた東京はホンマ別世界で……なんやむっちゃエネルギーみたいのん感じて…」そんな青木の言葉にラストカットの意図を重ねようとした矢先、そのセリフが出てきたエピソードのラストカットが地下鉄の閉塞感漂うホームなのにドキリとさせられる。(つづく)2022/10/16
アナクマ
32
『Sunny』と太極を成す作品かと思いつく。あっちは甘フワなガワに塩っぱい餡。こっちはその逆で、ガワはコワいが芯は素甘だ。一対の陰陽勾玉に見える。◉理想の一冊のために自費で奔走を続ける主人公。◉「弁当箱にジャムパンか…悪ィ奴ではなさそうだ…」(たぶん一番)幸せだった頃に着ていたロバのチョッキに手をあて酔夢を見る長作。優しい目をしたユニコーンが老老介護作家に並走する。夕立に慟哭するアシスタント。若かりし飯田橋さんの転生場面はひたすら恐ろしい。青木くん周りの青々しい話。林さんの眉間に皺「どう?」が最高。→2023/02/09