出版社内容情報
映画作りを愛する者たちの権力との闘い。
二大強国の冷戦が深刻化し、米国で吹き荒れる赤狩りの嵐。
ソ連の力に脅威を感じた米国政府はハリウッドの著名な映画人を
共産主義者であると告発していく。その内、召喚や証言を拒否した
主要な10人”ハリウッド・テン”を有罪にした非米活動委員会。
ハリウッド・テンの中心的存在ドルトン・トランボは他人の名前で
脚本を書き、『ローマの休日』、『黒い牡牛』を脱稿。アカデミー賞を
獲得。カーク・ダグラスは新作『スパルタカス』の脚本をトランボに依頼する。
FBI・Aキビーは右派のコラムニスト・ヘッダホッパーと組んで
トランボをこの作品の脚本から降ろそうと画策するが…
【編集担当からのおすすめ情報】
山本おさむ氏の緻密なドラマ作りを多くの媒体が絶賛しています。
山本ワールドをぜひ単行本でまとめて堪能ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとまみ(コミックス&BL小説専用)
24
公民権運動に入る。レッドパージはいつまで続くのか…2021/06/10
ぐうぐう
19
『スパルタカス』をめぐるエピソード。奴隷達がローマ帝国に反乱を起こす物語を、ドルトン・トランボは赤狩りに苦しむ自身の苦悩と覚悟を如実に反映させた脚本へと仕立てていく。漫画には出てこないが、映画の中で奴隷討伐軍がスパルタカスを差し出せば奴隷達の命を助けてやると告げると、何人もの奴隷が「私がスパルタカスだ」と名乗り立ち上がる場面など、トランボの心境を重ねて観ると胸が熱くなる。急遽監督を任されたキューブリックの、決して好みの映画ではなかったはずなのに、プロに徹した演出をする姿も描かれていて、そこもいい。2020/03/31
ムーミン2号
7
ドルトン・トランボをめぐるハリウッドの大騒動を描く巻。彼の子どもたちも学校では格好のいじめの対象であるが、それをたきつけているのはもちろん親世代だ。トランボは今も脚本を書いているし、その脚本は求められているが、実名でのクレジットはできずにいる。そこを突破しようとしたのはK・ダグラスの『スパルタカス』、そしてオットー・プレミンジャーの『栄光への脱出』。強硬な上映反対運動も上映をSTOPさせることはできなそうだ。時は1960年代に入り、ニクソンvsケネディの大統領選に突入すると、FBIたちはそちらに動く。2020/04/12
笠
5
4 新刊読了。キビーの工作で強烈な排斥運動の被害に遭いながらも、体を壊すほど脚本に打ち込んだトランボが、巻き返しのターン。作品でいうと『スパルタカス』『栄光への脱出』にあたるらしいが、どちらも見ていない…この辺り、ハリウッド映画のオールドファンにはたまらないだろうな。黒人の公民化運動に傾倒するようになったトランボの娘が、仲間に自分の父がトランボであることを打ち明け、受け入れられるシーンが感動的。アメリカ史的には、JFKが出てきてFBIとやりあってるが、この辺どこまでガチなのか、早く作者の補足が読みたい。2020/05/05
ぴっちゃん
1
1960年。2つの大作映画にドルトン・トランボの名がクレジットに記された。カーク・ダグラスの意志の強さよ。ローレンス・オリビエの乗馬シーンの挿話が笑える。ドルトン・トランボの復権の日は近い。2020/05/02