出版社内容情報
不朽の名作を鮮烈な恐怖描写で描く衝撃作。
日本文学の不朽の名作『人間失格』をトップホラー漫画家の伊藤潤二氏が
独自の表現で捌く衝撃作の完結編・単行本第3集です。
人間の営みが理解できない。なのに、周りの人間の目が
気になって仕方ない。都会の生活の中で多少図太くなった葉蔵は
自分に絶対の信頼を寄せるヨシ子と世帯を持った。しかし、ヨシ子の心と体が
犯され、その苦しみから逃れるために、酒や麻薬の中毒となる。
治療のために入院した病院で、奇蹟的な出会いが待ち受け……
「世間と折り合いがうまくつかない」そんな読者に深く愛される名作に、強いインスピレーションを得た伊藤潤二氏。氏がホラーの要素を絶妙に取り入れ、
人間の業を深く掘り下げた新たな衝撃作を紡ぎました。
【編集担当からのおすすめ情報】
文学界不朽の名作に大胆な解釈を加え、鮮烈なビジュアル表現が
繰り広げられる伊藤潤二版『人間失格』。各誌書評等でも多く、絶賛されました。是非お手にとって、伊藤潤二氏の世界に触れてください。
宜しくお願い致します。
伊藤 潤二[イトウ ジュンジ]
著・文・その他
太宰 治[ダザイ オサム]
原著
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
69
疑うことを知らず、一途に信頼を寄せていた人から裏切られ、疑心の芽生えから心を崩していくかつては清らかだった少女。自分で傷付け追い詰めておきながら、煩わしくなり捨てさり、薬に溺れ、あとに残るのは犯した罪の重みのみ。原作以上に悲惨の一途を辿る主人公はまさに無惨を通り越して怪談の領域。ラストのオリジナルな展開は、心が枯れゆくような穏やかな地獄で、苦しくも美しくもあり、ただコミカライズすることに留まることなく、伊藤さんの世界が見せてくれるその先は圧倒的! 凄まじいまでの傑作。2018/08/21
Bugsy Malone
54
苦しい。今は只々、そう感じることしか...出来ない。2018/10/24
すぱちゃん
39
流石ホラー漫画の第一人者、禍禍しい。以前、古屋兎丸の漫画化したものも読んだが、伊藤潤二のほうが描ききっていておぞましく、古屋はあとがきで、大庭の最後の絶望迄は描けなかったと書いていたが、そういう意味で、両方を読んでみても良いと思う。ある意味、身につまされる内容なので、時々、再読している。2019/05/02
Vakira
36
最終巻。葉蔵、自殺未遂から~の、モルヒネ中毒となってしまう。合格とは世間からレッテルを張られる事。狂人というレッテル⇒「狂人合格」そして失うものは「人間」という人格。よって「人間失格」。しかし、快楽を欲する弱さ、そして罪の重さに耐えきれない弱さと苦悩、これはもう充分人間くさい。快楽は生に対する執着心だし、人間こそが罪を感じることが出来る動物だ。人間の業を恐れながらも人間失格という道化を装う、実に人間くさい人間合格な葉蔵青年でした。伊藤潤二解釈版「人間失格」もお気に入りとなりました。2021/06/16
たまきら
32
そうきたか!ストーリーの飛躍、息をのむ三巻です。フリーダ・カーロの腐敗した背景を思わせるグロテスクな植物の壁には心底ゾッとしました。男と女の業、どこか滑稽な、陳腐な愛。最終章は道化たちのカーテンコールといった感じでした。いやはやすごい作品でした…。2023/10/24