出版社内容情報
「どうりで捕まらないわけだ」(道尾秀介)
自転車全国一周に扮した富田林署逃走犯、尾道水道を泳いで渡った松山刑務所逃走犯、『ゴールデンカムイ』のモデルとなった昭和の脱獄王……彼らはなぜ逃げたのか。なぜ逃げられたのか。
異色のベストセラー『つけびの村』著者は、彼らの手記や現場取材をもとに、意外な事実に辿り着く。たとえば、松山刑務所からの逃走犯について、地域の人たちは今でもこう話すのだ。
〈不思議なことに、話を聞かせてもらった住民は皆、野宮信一(仮名)のことを「野宮くん」「信一くん」と呼び、親しみを隠さないのである。
「野宮くんのこと聞きに来たの? 野宮くん、って島の人は皆こう言うね。あの人は悪い人じゃないよ。元気にしとるんかしら」
「信一くん、そんなん隠れとってもしゃあないから、出てきたらご飯でも食べさせてあげるのに、って皆で話してました。もう実は誰か、おばあちゃんとかがご飯食べさせてるんじゃないん、って」〉(本文より)
【編集担当からのおすすめ情報】
『つけびの村』で山口連続殺人放火事件を「村人たちの噂」という視点から見つめ直した気鋭のライターの、新たなテーマは「脱走」。警察に一度は捕まりながら、脱走に成功してしまった者たちの告白や足跡は、読む側に“禁断のスリル”をもたらすことでしょう。なぜ人は脱走にスリルを感じてしまうのか、それはいけないことなのか。著者はこの本でそう問いかけます。特別収録された作家・道尾秀介氏との対談でも、犯罪とフィクション・ノンフィクションとの距離感について議論を交わしており、そこも読みどころの一つとなっています。
内容説明
自転車全国一周に扮した男、尾道水道を泳いで渡った男、昭和の脱獄王、カルロス・ゴーン…彼らはなぜ逃げたのか。なぜ逃げられたのか。
目次
序章 暗がりに目を向ける―小説家・道尾秀介との対話
第1章 丁寧すぎる犯行手記―松山刑務所逃走犯
第2章 めっちゃ似とる―松山刑務所逃走犯
第3章 自転車で日本一周―富田林署逃走犯
第4章 手記を得る―富田林署逃走犯
第5章 最強の男―白鳥由栄の逃走
第6章 必ず壊せる―白鳥由栄の逃走
終章 逃げるが勝ち?
著者等紹介
高橋ユキ[タカハシユキ]
1974年福岡県生まれ。2005年、女性4人の傍聴集団「霞っ子クラブ」を結成しブログを開設。以後、フリーライターに。主に刑事裁判を傍聴し、さまざまな媒体に記事を執筆している。事件取材や傍聴取材を元にした著作がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
- 評価
購入済の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
いちろく
金吾
まゆみ
hirocchi