出版社内容情報
大ヒット企画『落語 昭和の名人 決定版』連載に大幅加筆。古典落語32席から江戸のしきたりや人間関係をひもとき、現代人が忘れてしまった地球に優しい暮らし、金銭より義理人情を重んじる生き方を再発見する。
内容説明
金離れがよく、物事に執着しない「江戸っ子」の美学は、どのように育まれたのか?落語に息づく人々の暮らしをひもとけば、現代人が忘れてしまった、まっとうな「しあわせ」が見えてくる。江戸の社会・文化を渉猟し、現代への明敏な批判としてよみがえらせてきた気鋭の江戸学者が世に問う、初めての本格的「落語論」。
目次
第1章 江戸っ子はなぜ宵越しの銭を持たないのか?
第2章 絆が人を幸せにする
第3章 結婚は切実な経済問題である
第4章 経済の発展は人を幸せにするか?
第5章 取り戻すべきライフスタイル
第6章 遊びが文化を培った
第7章 命と自然への敬意
著者等紹介
田中優子[タナカユウコ]
1952年、神奈川県横浜市生まれ。法政大学社会学部教授。専門は日本近世文化、アジア比較文化。『カムイ伝講義』『未来のための江戸学』(ともに小学館)など著書多数。『江戸の想像力』(筑摩書房)で芸術選奨文部大臣新人賞、『江戸百夢』(朝日新聞社)で芸術選奨文部科学大臣賞、サントリー学芸賞受賞。2005年、紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
237
今の学生たちが落語を知らないというのは驚きだった。本書は落語を手掛かりに江戸の文化や江戸人の生活を知ろうという試み。江戸初心者向けなので、ある程度江戸を知る人には、いささかもの足りないかも知れないが。でも、これを読んでいると、江戸っていうのは、今こそ回帰すべき何かなのだと思う。なんたって、現代には失われた「こころいき」ってものがあるのだから。2012/07/02
rosetta
28
2010年刊。新書とは言いながらコンビニの読み捨て本みたいな内容。法政大学の教授が書いているからもっと掘り下げているのかと思った。江戸時代を無批判に祭り上げているのが気になりますが、内容はそれなりに面白いです。花火は蛇口の壊れた水道みたいにジャジャ漏れに打ち上げるより、数が少なくても一発づつ余韻のある方が好きという意見には1票2024/12/17
funuu
12
江戸時代の平均寿命は35歳くらいだと言われている。寿命の短さが江戸時代の人々の人生を生き方考え方に与えた影響は、大きい。抗生物質もない訳だから人は簡単に死ぬ。老後もあまり心配ない。できるだけ元気な間にできるきることはしておきたくなる。それが時代の活力になって江戸文化となり開花した。 今は高校生が老後の会話をしている。人の人生としては江戸時代と現代とどちらが良いかは微妙だ。我々は今をできるだけ良く生きていきたい。2019/12/31
さくらんぼ(桜さんと呼んでね)
10
先日、江戸東京博物館に一緒に行った友達に紹介された本。落語を元に江戸の生活が描かれている。博物館で、なぜこんなに火事が燃え広がったのか、人口が密集してるようだけど人々の暮らしはどうだったんだろうと謎に思ったことが理解できた。江戸時代は完全循環社会だった、修理して使う、排泄物ですら土を肥やす養分にするというのがかなり理想的に書かれている。また仕事が細々とありワークシェアリングされてたという。学力のないものでもそれなりの仕事はあった。今の世の中、便利にはなったが生きにくくなってるのかもしれないと思わされた。2015/05/25
文章で飯を食う
9
一つ一つの話が面白くて短くて読みやすい。久しぶりに読み終わるのが惜しいと思った一冊。江戸はそれぞれの性に合った仕事の有るワークシェアリング社会だし、完全な循環社会だったんだな。その代わり身分は固定されているし、閉塞したところも有る。2016/02/27
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- 和書
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