出版社内容情報
ガンの告知を受けたおばあさんが、無理な延命治療をしないで、家族の温かな介護で死を迎えていくまでを写真とおばあさんの飼い猫の目を通してつづります。
大塚 敦子[オオツカ アツコ]
写真/著・文・その他
内容説明
いつまでもわすれないよ。スターキティが語るおばあさんの思い出。ある夏の終わり、エルマおばあさんは、お医者さんから病気でもう長くは生きられない、と言われました。これは、おばあさんといっしょにすごした最後の1年間のお話です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
100
写真絵本。敬老の日テーマで小学3年生に読み聞かせ。高学年にもいいかも。▽飼い猫スターキティから見たエルマおばあさんの最後の1年。エルマおばあさんは末期がんを申告され、自分の命が残り少ないことを知った。弱っていく体を気遣いながらも、いつもどおりの生活を続けることにしたエルマおばあさんはとても穏やか。理想の死のありかたのひとつ。▽優しい語り口なので、死をテーマにしていながらも悲壮感がないのがいい。2021/09/09
aquamarine
92
涙で何度も字が見えなくなった。なんて素敵な最後の一年なのか。エルマおばあさんはいう。「このさき、ひとつひとつ、いろんなことができなくなっていくだろうけど、それは、体が旅に出る準備をしているからなんだよ。」死を間近にしたとき、怖いのはどんどん弱っていく自分の体だ。それに対してこんなに心強い言葉が他にあるだろうか。おばあさんを見送るご家族も素晴らしい。寂しくないわけがない、辛くないわけがないのに。見送られる立場になっても見送る立場になっても、その時が来たら私はこの本のおかげできっと強く穏やかでいられるだろう。2018/06/20
めしいらず
86
避けられぬ死を家族ときちんと語らうことの大切さ。畏れたり忌んだり隠したりする必要はない。皆で受け止めその日に向けて心を整えて行く。何ら特別な準備も不要。いつもの日常をいつも通り過ごすだけだ。日に日に小さくなっていく姿を見るのや、当たり前にできたことができなくなっていくのを見るのは切ない。そしてどんなに覚悟して迎えてもその日は家族にとって辛いものだ。けれど死に向かう日々を各々がどんな心持ちで過ごしたかで、その後は全く違ったものになること。突然ではなく時間をかけて迎えられた死は、家族にとってむしろ幸せだろう。2018/05/22
めしいらず
66
不治の病に冒された85歳のおばあさんが、それを受け入れ、静かに死にゆく様を、飼い猫の目線で物語った写真絵本。死の気配が濃くなるまで、普段通りを貫く。友と語らい、紅を引き、庭を手入れする。そんな彼女の姿を見守る家族の優しい眼差し。死を控え、過去の失敗を笑い、つまらぬことで仲違いした人に思いを寄せる今を一番幸せと言う。死を恐れず、その日を自分で決め、その通りに気高く逝く。素敵だなぁ。その死に接した家族の悲嘆ぶりが身に迫る。2014/07/01
ぶんこ
57
余命1年と宣告されたエルマさんが、淡々と最期を迎える準備をし、家族と愛猫に見守られる日々。猫は弱っている家族にはそっと寄り添ってくれる優しさを持っています。私も何度も助けられました。エルマさんを見つめるスターキティの心配そうで優しい目つきが印象的でした。「仕事に恵まれなかった夫の代わりにずっと働いて・・」と大塚さんが書かれているのを読んで感動しました。エルマさんも大塚さんも優しい。ご家族仲がいいのも、そして猫と仲良しなのも写真に滲み出ていて羨ましいくらいです。素敵な人生。2018/12/26
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