出版社内容情報
そうだ あきに てがみを かこう
春夏秋冬と季節は巡ります。「私はあきにあったことがない。」そう気づいたはるは、あきに手紙を書くことを思いつきます。そこから始まる、はるとあきの往復書簡。忘れつつある大事なことを、思い出させてくれます。
【編集担当からのおすすめ情報】
永遠に会えない運命なのに、心を寄せ合う二人。古風な「手紙」という方法でやりとりするかわいい姿や、その内容は、少しもの悲しくも、心をほんわか暖かくします。美しい文章と、それに寄り添うかわいい絵で、忘れつつある大事なことを思い出させてくれる、新しい名作の誕生です。
内容説明
季節のすばらしさ、相手を思いやる心、手紙を書くこと…忘れつつある大事なことを思い出させてくれます。
著者等紹介
斉藤倫[サイトウリン]
1969年生まれ。詩人。2004年『手をふる手をふる』(あざみ書房)でデビュー。初の長篇物語『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で、日本児童文学者協会新人賞、小学館児童出版文化賞を受賞
うきまる[ウキマル]
横浜生まれ。日本大学芸術学部デザイン科卒。広告や商品企画、映像制作などの仕事に携わり、絵本の制作へ。おもに斉藤倫との共作を手がけ、『はるとあき』がデビュー作となる
吉田尚令[ヨシダヒサノリ]
1971年生まれ。書籍や絵本の作画を主に手がける。絵本『希望の牧場』(森絵都作/岩崎書店)で、IBBYオナーリスト賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
150
はるとあき 2019.05発行。字の大きさは…大。文、斉藤倫、うきまろ。絵、吉田尚令。絵を見ていると、やわらかく、落ち着いた筆遣いで…癒されます。物語は、やわらかな春が、春の知らない凛とした秋に手紙を書きながら、春を知ることです。春も秋も会えないけど、そこに居るって知っています。会えなくてもずっと素敵な友達です。私は、厳しい冬が過ぎ桜を見ると「あ、ああ…今年も桜が見えた…来年も…」と思います。ひとつの季節ごとに、生きている喜びを噛みしめています。この夏は、厳しかったです。桜を見るのを楽しみにしています。2020/09/12
ぶち
133
p.ntskさんをはじめ、多くの読友さんのレビューやコメントを拝見したら、読まずにはいられなくった絵本です。 悲しいお話しでもないのに、読んでいてなぜか涙ぐんでしまいました。 永遠に会えない運命の二人が、"手紙"のやりとりという方法で、心を寄せ合っていきます。春夏秋冬、めぐる四季にこんな物語が隠れていたなんて.....読者の心を暖かくしてくれます。そして、私はこの二人が永遠に会うことができない状況にあることを、少し切なく思ってしまいました。。 美しい文と優しい絵の名作です。2019/12/09
シナモン
128
図書館本。擬人化された四季。はる、なつ、あき、ふゆの子どもたち。ある日、はるは思った。「そういえば、あきに会ったことがないなぁ。そうだ、手紙を書いてみよう」そして手紙をなつに託します。季節は巡り、やがてはるはあきからの手紙をふゆから受け取りました。こうして始まった手紙のやりとり。決して会うことのない二人だけれど、その内容は相手を想う想像力と優しさにあふれていました。橋渡し役のなつとふゆの言葉がまた良い。ほんわかした色使い。穏やかな気持ちになる一冊でした。どの季節も素敵だな。2019/10/27
ちゃちゃ
114
会えない相手を心で想う。移り変わる季節の中で、春と秋は出会うことのできない相手に宛てて手紙を書く。赤くて甘酸っぱい苺、山を埋め尽くす紅葉。今ある世界の素晴らしさを添えて。会えない人、見えないものを想像することの豊かさ。異なるからこそ気づける互いの良さ。「ねえ あなたなら どんなことを かく?」このひと言がとても良い。頁を捲る手をふと止めて、私なら今の自分をどんなふうに手紙で伝えよう。心に寄り添うような斉藤倫さんの言葉が深い思索へと導く。吉田尚令さんの愛らしい絵もとても素敵だ。お気に入りの絵本に入れよう。2019/07/06
ままこ
103
可憐なイラストで描かれるはるとあきのお手紙のやりとりが微笑ましい。同じものを見ているけど違って見える。そこから気づいたこととは…。穏やかで優しく思いやりに溢れた絵本。2019/09/14