内容説明
お母さんとはぐれてとほうにくれている少女のまえに、おなかをすかせた悪魔があらわれました。ひとりぼっちの悪魔と、少女のふしぎなふしぎな物語―。
著者等紹介
舟崎克彦[フナザキヨシヒコ]
1945年、東京に生まれる。作家、詩人、挿絵画家。絵本、童話を中心に300冊以上の著書がある。『雨の動物園―私の博物誌』(偕成社)でサンケイ児童出版文化賞、国際アンデルセン賞優良作品賞受賞。「ぽっぺん先生」物語シリーズ(筑摩書房、文庫版は岩波書店)で、赤い鳥文学賞、路傍の石文学賞を受賞
宇野亜喜良[ウノアキラ]
1934年、名古屋市に生まれる。名古屋市立工芸高校図案化卒業。画家、グラフィックデザイナー。講談社出版文化賞挿絵賞、サンリオ美術賞、赤い鳥挿絵賞など受賞。1999年に紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nuit@積読消化中
89
すごくいい話だ〜〜(感涙)。ネタバレになるので深くは書きませんが、どんな悪もピュアな愛情には勝てませんね。素敵なお話にぴったりの巨匠宇野亜喜良さんの絵が独特な味わいも出しており実に素晴らしい!心が洗われます。2016/07/16
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
73
舟崎克彦氏は挿し絵画家でもありますが、本書では物語に専念しているようです。宇野亜喜良氏が描く少女の妖しい美しさが、物語が持つファンタジックな魅力を高めていると思います。年老いて魔力をなくした悪魔。母親とはぐれ独りになってしまったジプシーの少女。つむじ風が吹く荒野で二人は出会います。空腹だった悪魔は、少女を食べてしまおうと企みますが、疑うことを知らない少女の真っ直ぐな瞳に悪魔の心は揺れ動きます。一計を案じた悪魔は、少女に目を閉じさせ、最後にたった1回分残っていた魔力を使うのです……。2006年12月初版。2015/01/12
へくとぱすかる
69
どこかの砂漠で年とった悪魔が少女と出会い、食べてしまいそうな展開に。しかしトシのせいで魔法はほとんど使えない。「わしもヤキが回った」と言いそう。白雪姫のような作戦をじっくり進めていたら、ああなってしまうのだが、カドが取れているというか、悪魔がついホロッとしてしまったり、神さまに助けを求めるとか、ぽっぺん先生シリーズの作者だけあって、すごくユーモラス。こんな腰抜けの悪魔なんてありえない、というツッコミもできそうだけど、もし悪魔でなかったら、ラストに納得いかなくなるだろうなぁ。そのための設定だと理解したい。2022/01/06
gtn
41
外見は飢えと征服欲に満たされているように見えるが、内面に一分の慈悲がある故に少女は救われる。悪魔の一片の良心は、少女の心に永遠に残り、後世にも受け継がれてゆく。2020/10/27
かおりんご
35
絵本。結果的には、いい話。悪魔は悪魔じゃなかったらしい。女の子の優しさもいい。2014/09/01