出版社内容情報
『雨の名前』『風の名前』に続く大好評まほろば歳時記第三弾。テーマは日本の暦に根付いた花。 昔日本に伝わって、今は忘れられてしまった暦、七十二候をご存じですか。立春・大寒といった一年を二十四等分した「二十四節気」をさらに三分し、一年を七十二等分したのが「七十二候」。ほぼ五日間ずつの自然の変化を「雀始めて巣くう」「桜始めて開く」などと漢詩の一節にこめたもの。そのおもしろい暦を縦軸に、そしてさまざまな花の呼び名を横軸に、季節の移り変わりと人々の暮らしや行事を追った、風変わりな花の歳時記です。懐かしくて、どこかじーんとする、あなたの記憶をよびさます花と暦の本が生まれました。
佐藤 秀明[サトウ ヒデアキ]
写真
高橋 順子[タカハシ ジュンコ]
著・文・その他
内容説明
花の名前を枝折りにたどる「記憶のこよみ」それはいきものの言霊のかたち。季節の色を3倍に楽しむ本。辞典+歳時記+エッセー+写真集のアンサンブル。
目次
踏青の巻(立春;雨水 ほか)
滴翠の巻(立夏;小満 ほか)
錦秋の巻(立秋;処暑 ほか)
埋火の巻(立冬;小雪 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちはや@灯れ松明の火
45
はなをくすぐる、やさしいかおりにふりむいて。鳥や虫を出迎えて、うつろう季節を彩ろう。春を萌す東風に香り立つ風待草、邪気祓いの酒にたゆたう神酒古草、儚く潔く風に舞い踊る夢見草。七十二に刻まれた円い暦の上、通り抜ける風と滴り落ちる雨が時の針を廻す。いまだけのはれぎをまとい、ほほえみかけるかんばせ。君影草、妻恋草、恋忘草、たおやかな調べに想いを馳せて、幽霊草、死人花、鬼の醜草、おそろしげな響きにそぐわぬ姿を愛でる。眺めて、摘み取って、今だけの景色を写し描いて。あなただけがしっている、とくべつななまえでよんで。 2013/11/19
あきあかね
25
桃始笑(ももはじめてわらう)、蚕起食桑(かいこおこってくわをくらう)、涼風至(すずかぜいたる)、水泉動(すいせんうごく)。「二十四節気」と比べマイナーな「七十二候」だけれど、雅やかであり、ユーモラスでもある芳醇な言葉は、四季折々の時の魅力を存分に伝える。その言葉とともに、美しい花々の写真、和名や異名、花を詠んだ俳句や短歌が盛り込まれている。 これまでに読んだ、文章だけの『水のなまえ』と『星のなまえ』も想像力をかき立ててよかったが、やはり「花」は写真があるといい。鮮やかな色彩の洪水に包まれて、心が華やぐ。2019/07/11
折原紫乃(Shino Orihara)
7
郷里は高地の寒冷地なので、春は遅く、花はほぼ一気に咲く(桜はGWに満開だ)。美しく文学的な光景なのに、当時の自分が花に対しての興味が薄かったのが悔やまれる。花に興味を覚えたのは、まさに、花に美しい名前が数多あり、その漢字から美しいのを知ってからだ。多彩な花の名前からも、日本人が如何に花を愛してきたかが分かる。世界中の花の謂われも美しい。花も物語と共に在る。2019/05/26
ろびん
3
七十二候、面白いですよね。2020/01/05
yamakumi
3
写真が綺麗。日本の四季が24に分かれてそれぞれに名前がついている。最近、生け花でも洋花が使われることが多くなってきた。・・・で、なかなか名前が覚えられない。本の中では、別名、地方での呼び名などが紹介され、とても興味深かった。日本語の風情…。素晴らしい…。2012/03/11