出版社内容情報
西鶴の筆が冴える国文学史上初めて登場した町人から見たサムライ
井原西鶴の「好色物」、「町人物」と並ぶ「武家物」の傑作三編を収録しました。古今諸国の仇討ちを記した『武道伝来記』、意地に生きる武士を描いた『武家義理物語』、仮名草子にヒントを得て、武士にまつわる珍談、奇談を集めた『新可笑記』です。国文学史上初めて、町人の視点から見た武士の姿を、高潔と滑稽、激情と冷酷、栄光と悲惨など様々な要素を交えて、西鶴は冷徹に描いています。本書は、原文のニュアンスを充分に汲んだ新訳と、最新の研究成果を反映した詳細な注釈により、西鶴武家物の決定版といえるでしょう。
富士昭雄[フジアキオ]
著・文・その他/翻訳
広嶋 進[ヒロシマ ススム]
著・文・その他/翻訳
内容説明
古今の仇討ちを記した『武道伝来記』、意地に生きる武士の姿を描いた『武家義理物語』、武士の世界の珍談・奇談を綴った『新可笑記』。西鶴武家物の傑作三編を収録。
目次
武道伝来記
武家義理物語
新可笑記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
6
『武家義理物語』のみ読了。源了圓の『義理と人情』からの流れ。西鶴においては義理は武士のものとされてる。人情からは明確に区別されてる。人情に反するけれども武士としての一分を守るために必要とされる我執の放棄を促すのが義理。ただ義理も外から強いられてたものとは捉えられておらず、内からの衝動。感情的にはやりたくないが「理」がこれを強いる。この理を理解する能力を「理性」と呼ぶならば、情念対理性の衝突で理性を選択するのが義理を守るということ。ただし西洋と違い、他者との関係において己の一分(「自分」?)を全うする理性。2020/10/19
せばすた
2
いやはや…井原西鶴先生による、2種類の武士の物語。武道伝来記ではゲスな武士を、武家義理物語では武士が、一般市民にはちょっと理解できないくらいに義理を通す話でした。当世の武士批判がテーマで、特に『義理物語』に異質な話が多かったのですが、個人的には『義理物語』巻の4の、美少年が命の恩人に報いるために振り袖を着て枕を交わす話にファっ!?となってしまいました…話に聞いてはいましたが、江戸時代までは衆道が本当に普通だったんですねぇ。2014/10/15