出版社内容情報
わが国現存最古の長編物語。頭注・現代語訳がついて誰にでも読める。
『うつほ物語』の名は、『源氏物語』に先行する、わが国現存最古の長編物語として、つとに知られていたが、実際にはあまり読まれてはいなかった。研究の進んだ『源氏』に比べ、質のよい原本が少なく、また注釈書もあまり出ていなかったためで、その文学的価値は、決して『源氏』に劣るものではない。今回、最良の善本であるといわれる、「前田家本」を底本にして、『うつほ』に関する研究では第一人者といわれる中野幸一氏により、初めて一般の人にも読める注釈本として発刊することになった。『うつほ物語』は、異界漂流と秘琴伝授という伝奇的な幕開けで始まる。俊蔭―その娘―その子仲忠という、3代にわたる琴の伝授という流れと、あて宮という絶世の美女への求婚物語の、二つの筋が緊密にからみあい、物語を織りなしていく。第1巻には、「俊蔭」「藤原の君」「忠こそ」「春日詣」「嵯峨の院」「吹上上」「祭の使」「吹上下」の8巻を収録。第2巻には「菊の宴」から「蔵開下」まで、第3巻には「国譲上」から「楼上 下」までを収録して全3冊。同一ページに、原文・頭注・現代語訳がはいり、誰でも、この日本古典文学の傑作を、原文で読むことができます。
中野 幸一[ナカノ コウイチ]
著・文・その他
内容説明
渡唐の途中、漂泊し、霊琴を得た俊蔭。孫の仲忠(主人公)は母と北山の多杉のうつほ(空洞)に住み、動物たちに養われるが、時を得て権門に返り咲き、物語は絶世の美女をめぐる求婚譚へと発展。全三冊。
目次
俊蔭
藤原の君
忠こそ
春日詣
嵯峨の院
吹上 上
祭の使
吹上 下