出版社内容情報
民族文化としての森林の歴史と未来を考察
「森林」は、もはや自然が生み出したものとは言いがたい。今日、見られる森の姿は、民族の思想や文化を色濃く映しだしているからである。したがって、今後の森の命運は、それぞれの民族が、森をいかに認識し、いかなる森づくりをするかにかかっている。 日本にも日本人独特の自然認識があり、それにもとづいて森づくりがおこなわれてきた。本書は、日本の文化が過去にいかなる森づくりをしてきたのかを、日本人と森との関わり、日本人の自然観、日常生活等から考察し、そこから、今後いかなる森づくりを目ざすべきかを、林業技術、緑地計画等の面から具体的に提案している。 長年、ヨーロッパ各地の森林の生態調査を行い、住民たちの森林意識調査を行ってきた著者が、豊富なデータをもとにおこなう実践的な日本の森づくりへの提言は、森林学会のみならず、各界からも熱いまなざしをもってむかえられている。 かつて身近にあった森を、われわれの日常生活の中にいかにとりもどすか。世界的に自然保護、森林保護がさけばれる今日、見逃すことのできない、新しい知見と視点に立った森林文化論である。
内容説明
自然のすばらしさ、自然との共生とは何か。“森林文化”という概念をいち早く提唱した著者が、ヨーロッパと比較しながら、文芸、宗教、民族性を林学者の目で鳥瞰して日本人の自然観の深層をえぐり出し、未来の森林のあり方への展望を拓く力作。
目次
1 日本人の自然観
2 文化としての森
3 自然を見る目
4 林業からみた森
5 環境としての森
6 森と語る