出版社内容情報
弥次喜多も見た(?)旅の本『都名所図会』から、円山の桜、祇園祭、東福寺の紅葉、祇園のおけら参りなど、今日に伝わる代表的年中行事二十四景を選びぬき、その挿絵の細部をクローズアップして、絵解きしました。
最近、『江戸名所図会』や『江戸切絵図』を手に、東京の町の古層に眠る記憶を呼び起こそうと、グループで散歩する老若男女がふえています。 そう、江戸後期にも一種のディスカバー・ジャパンの旅行ブームが起こり、絵入り旅行案内書の決定版ともいうべき「名所図会」が各種出版され、広く読まれたのです。 『都名所図会』は当時も人気一番の観光地、京都の洛中洛外の見ごろ・見どころを細かく紹介。特に今日の写真にかわって、人情風流を丹念に描き込んだ挿絵が評判となって定番スタイルを確立した大ベストセラーで、百数十年にわたり版を重ねました。 先頃、京都は建都千二百年祭に湧きましたが、平安京のほとんどは応仁の乱で焼け失せ、その後、町衆の手で文化伝統に根ざした人間回復の町としてよみがえりました。今日の諸行事は室町期・江戸期にかたちを整えたのです。 政都(江戸)・商都(大坂)に対して、心なごませる休らぎの地・京都。 春夏秋冬、自然のめぐみにつつまれ、風流に遊ぶ人々を活写した挿絵二十四景を選び、細部をクローズアップして、絵解きしたのが本書です。 案内役は、京都歴半世紀に及び、「都おどり」の作詞担当でも知られる大の京都通、宗政五十緒氏(竜谷大学名誉