出版社内容情報
昭和30年代に全盛期をむかえた琺瑯看板を探し求める“ホーロー記”。古きよき日本の広告デザインやキャラクターの琺瑯看板を通して、庶民の生活史が見えてきます。当時の思い出のカケラが眠る街角ミュージアムにご招待。
雑誌『ラピタ』で好評をはくしていた連載「琺瑯堂飛び出す」の単行本化です。お宝ブームといわれ10万円もの値がついたり、小津安二郎の映画や土門拳の写真のモチーフになったり、モノ集めの文化の系譜につらなるホーロー看板。古きよき日本の広告デザインやキャラクター、昭和30年代(ホーロー看板の全盛期)の庶民の生活史などが、このホーロー看板を通して描かれます。あたかも昭和史を眺めるがごとく胸に響く本といえます。まさに街角のミュージアムともいえる看板を捜し求めて全国を旅する著者の抱腹絶倒のホーロー記です。
内容説明
二十一世紀に残したいワクワクする「古き良き日本」の庶民派アート、街角美術館へ、ようこそ。
目次
奥の裏道―醤油看板のデザインワーク
看板役者五人衆―各種「オロナミンC看板」の発見難易度
真昼の決闘―蚊取り線香看板の勢力分布
道に迷う―昭和30年代の「小学生三種の神器」
御三家―「新御三家」看板
京都の家宝―効能あらたかクスリ・ネーミング
バブル三昧―石鹸看板は、ワンダフル
看板娘―横顔のサインボード・ビューティ
史上最大の作戦―クルマは揮発油で動くのです
アート派―姿看板の王様“味の素のオワン”〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
40
ホーロー看板は三種の神器の幕開けとなった、S30年代の広告媒体。張り師と呼ばれる人が全国に看板を打ち歩いた。キングオブホーローは大村崑をイメージキャラにしたオロナミンC。『美味しくて落ちた』ズレ眼鏡が愛嬌たっぷり。本書の特徴は歩いて探し、現場写真に収める臨場感溢れる作り。現金な世界を放浪(ホーロー)、出会いの中で稀少な一枚を手に入れてゆく苦労が面白い(筆者のギャグは寒いが)。ホーロー看板が減っているのは筆者が剥がしてコレクションしているからに他ならないような気もする。保存するという観点から言えば正解だが。2014/07/09
つちのこ
3
著者は琺瑯看板マニア。それも私のような琺瑯看板がある風景を撮影し、デジタル蒐集することに満足しているマニアたちが一番嫌うコレクターである。全国を回って2000枚も集めたというから半端ではない。一個人でこれだけ集められたら、貴重な看板が無くなっても仕方がない。 全国にはこうしたコレクターは多くいる。しかし、著者の努力は買いたい。本書は数少ない琺瑯看板の資料としてはカラー刷りの気合もさることながら、過ぎ去りし昭和30年代の思いと“看板愛”が溢れた秀逸な内容に仕上がっている。(2004.9記)2004/09/16
mochico
0
戦前のグリコおじさんは、渥美清に似ている。というか、そうとしか見えない。2014/08/02