出版社内容情報
『日本美術全集』は、2012年12月に小学館創業90周年企画として刊行を開始。2016年2月末の刊行で、「日本美術創世記(縄文・古墳・弥生時代)」から「日本美術の現在・未来(1996~現在)」まで全20巻が完結しました。
今回、私たちは、あるひとつの想いを込めてこの美術全集を編纂してまいりました。それは、未来に開かれた全集であること。いくら「日本美術のベスト・オブ・ベスト」を集めたものが出来上がったとしても、未来と繋がっていかない全集には価値がないと考えたのです。
美術全集の編集作業は、担当者が一点一点作品を選んでいくわけですが、単に過去を封じ込めた全集にはしたくありませんでした。収載されるのは、たとえ過去という時間であっても、美術全集はたえず未来へ希望を運ぶ舟のようなものでなければと、刊行開始時も完結した今も強く願っております。
法隆寺金堂の仏像が、飛鳥時代から今日まで、1400年間余そこにたたずみ続けるように。江戸時代の画家・伊藤若冲が、200年の眠りから覚めて日本美術ファンを魅了しているように、この美術全集も、最新の成果をもとに、時代の波に洗われても決して古びることのない、未来へと開かれた全集にすることができたと信じています。
この全集によって日本美術がこれまで以上に魅力的に輝き出す、これにまさる喜びはありません。