出版社内容情報
日本人に最も親しまれているミレー、印象派の先駆となったコロー、 リアルで力強い画面を創り出したワールベ、鋭い風刺を込めてフラン ス社会を活写したドーミエ。 19世紀中期、フランスを中心に起こ ったレアリスム運動を主軸に、ドイツ、北欧、オランダ、東欧、ロシ ア等のレアリスム、イギリスのラファエル前派とヴィクトリア朝絵 画、さらには建築、彫刻も収録。
馬淵明子[マブチアキコ]
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内容説明
〈種まく人〉で親しまれるミレー、印象派の先駆となったコロー、現実を活写するクールベが、登場。19世紀中期のフランスに始まり、諸国に開花した“レアリスム”。自然の光輝、人間の生命を描出、迫真の名作468点を収録。ロシア、東欧の新規取材の成果。
目次
総論 19世紀とレアリスム
コロー、フランスの風景画
ミレーとバルビゾン派
ドーミエ、クールベ
レアリスムとアカデミスム
ラファエル前派とヴィクトリア朝絵画
諸国のレアリスム
彫刻、建築
テーマ特集(写真と絵画;カリカチュールの洪水)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
279
この巻は「レアリスム」の特集である。巻頭はコロー。これにミレー、クールベが続く。この全集の監修者や編集者たちは、上記の3人をレアリスムを代表する画家と見ているのだろう。中ではやはりクールベの「オルナンの埋葬」(1849〜50年)が注目される。この絵は様々な意味においてサロンに対抗し、そこからは独立したものとして屹立しているからである。ただ題材や個展といったあり方はともかく、私には絵そのものはそれほどに革新的だとは思えないが。ついで注目したいのがミレーの「晩鐘」である。この絵には「物語」がふんだんに⇒2024/01/28
KAZOO
112
徐々に近代になり、この巻にはレアリスムということで、現実的な光景を書いたものが中心となっています。フランスのコロー、ミレー、ドーミエ、クールベが中心です。ドイツや北欧、ロシア、イタリア、スペイン、アメリカの作家の作品などもありますが私にとってはあまり印象に残るものはありませんでした。2017/02/12
Eu
1
この全集のなかでもこの巻がめっぽうおもろい。ラファエル前派とか移動派とかもこの巻。月報でドーミエの《洗濯女》の子どもがもっているものについて馬渕明子も澤地久枝も明らかに道具だと思うのに対してある男性の鑑賞者がおもちゃだと思ったというくだりがおもしろかった。「男と女では、見方がちがいますね。彼は、この絵を生活の中で見ていないんですね」(p.5)。2022/11/25