出版社内容情報
ビザンティン帝国を中心に、東方世界に見る中世キリスト教美術の集大成
4世紀前半、ローマ皇帝コンスタンティヌスが造った帝国の新しい都は、皇帝の名にちなんでコンスタンティノポリスと名づけられる。アジアとヨーロッパを結ぶその地は古代ギリシア以来ビザンティオンと呼ばれていた。「ビザンティン帝国」の由来である。 史上初のキリスト教国家となったこの帝国は、キリスト教教義ばかりでなく、美術表現のうえでも西欧とは異なる、独特の様式を展開する。壮麗なアギア・ソフィア大聖堂、まばゆいばかりのラヴェンナのモザイクには宗教と国家権力の統合を見るだろう。「神の姿」を写すことをひたすらに願ったフレスコ画は、近代の遠近法とは無縁の技法で聖なる世界を具現する。礼拝のための聖画像、イコンはときに願いをかけ、抱きしめる対象でもある。修道士たちの祈りの生活が営まれていたエジプトのシナイ山、トルコのカッパドキア、ギリシアの聖山アトス、メテオラも忘れてはならない。また、ビザンティン美術の拡張として、スラヴ諸国やアルメニア、グルジアを網羅し、ロシアの中世美術も取り上げる。 千年の都はオスマン・トルコによって歴史を閉じるが、その豊かな美術遺産を日本で初めて集大成した、まさに本シリーズの棹尾を飾るにふさわしい一冊である。
高橋 榮一[タカハシ エイイチ]
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内容説明
本書は、いわゆるビザンティン帝国を中心に、4世紀後半から15世紀半ばまでの、後期古代・中世の東方キリスト教美術を扱うものである。
目次
序論 ビザンティン美術の時代的背景と特質
東方初期キリスト教美術―アウグスティヌスとその時代
前期ビザンティン美術―新しい帝国とキリスト教美術の確立
中期ビザンティン美術―円熟期を迎える首都と周辺
後期ビザンティン美術―「神の美術」の洗練と頽廃
カラー図版特集 聖山アトス、メテオラ
ビザンティン美術の拡張―スラヴ諸国のキリスト教受容と静寂主義
アルメニアとグルジアの伝統造形
ロシアの中世美術―「ルーシ」の聖堂建築
壁画とイコン
テーマ特集(東西のキリスト教世界と美術;イコンの系譜)
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