出版社内容情報
現実をあるがままに捉えるリアリズム写真を提唱、実践した土門。激動の時代に大きく変貌した日本の姿を収録。
昭和十年、土門が報道写真家としてスタートしてからの30年は、日本は世界に例のない激動の時代であった。戦前、戦中、戦後を通しての、政治的、社会的な観点で撮り続けた土門の報道写真家としての本質を伝える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フリスビー
10
私には、写真を評価する能力も技術もないが、今まで見た写真集の中で最も強く衝撃を受けた。「モチーフとカメラの直結」「絶対的非演出の絶対的スナップ」の信念通り、まさに今しかない、という決定的瞬間を躊躇なく撮っていて、撮影者とモチーフの心情や境遇がダイレクトに伝わってくる。日本写真史上に残る「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」をはじめ、土門拳のカメラは常に民衆の側にある。第二次羽田闘争で逮捕された女子学生が右手に持っていたのは檸檬。こんな写真が撮れるのは土門拳だけだろう。野坂昭如の解説も素晴らしかった。2018/04/25
ひねもすのたり
5
1935年~1967年までの日本を切り取った土門拳の写真集。 とにかくスゴい写真家だとは耳にしていましたが写真集を見るのは初めて。 ちょうど三池炭鉱を舞台にした小説を読んでいたので、筑豊の子供たちや三井三池闘争を収めた写真が印象に残りました。専門的なことはわかりませんが、リアリズムに徹し、社会の現実を写真という手段を用いて訴えかけるさまは、土門拳がいかに優れた表現者だったことを如実にあらわしています。 被写体になっている何百人もの日本人。 私はこの中に自分の父母や祖父母がいるように思えてなりません。2013/06/25
おj
1
広島旅行前に読了。2022/04/02