出版社内容情報
季語はいつごろ、どうして生まれ、どのように育まれてきたのか。日本人なら知っておきたい季語のルーツを、和歌・俳句・漢詩や古典文学などから掘り起こす。
あらたふと青葉若葉の日の光 芭蕉の『奥の細道』に見える有名な句ですが、この句の季語は何かと聞かれたら、すぐにおわかりになるでしょうか。答えは「若葉」です。季節は夏とわかっても、「目には青葉山郭公はつ鰹」に句から「青葉」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ちなみに、「目には…」の句も「初鰹」の句です。今でこそ「青葉」は夏を代表する季語となっていますが、そのように固定したのは大正以後のことで、それ以前はふつう非季の語とみなされていたようです。「青葉」が夏の題ではないのは、夏のものではない「青葉」もあるからで、和歌の世界ではそのような「青葉」もしばしば詠まれてきました。 本書では、このように知っているようで意外に知られていない季語の常識を、代表的な季語75語を選定して、和歌・漢詩・俳句などを味わいつつ再確認しようというものです。一つ一つの季語のルーツを探索することにより、日本人が培ってきた伝統的な感性や美意識は、いつごろどうして生まれ、どのような経過があり、どのように変わっていったかということがわかります。 まさに、季語の奥行きの深さを再発見する書といえるでしょう。
内容説明
日本人に好まれる代表的な季語が、いつごろどうして生まれ、どのようにはぐくまれてきたか…。和歌、漢詩、俳諧などを味わいつつ、その足跡をたどる。
目次
春(立春;門松;若菜 ほか)
夏(更衣;初鰹;牡丹 ほか)
秋(天の川;稲妻;蜩 ほか)
冬(時雨;枯野;梟 ほか)