出版社内容情報
九州の鉄道を変貌させたデザイナーの物語
1990年代以降、JR九州の各路線には個性的な列車が誕生してきた。精悍な“顔つき”で多くのファンをつくった特急「つばめ」(787系)、遊び心に満ちた色彩で親しまれた「ソニック」(883系)、和の素材、伝統、意匠を取り入れた九州新幹線「つばめ」(800系)……。本書は、これらのデザインを手がけたデザイナー水戸岡鋭治氏を描いたノンフィクション作品である。
水戸岡氏は高校卒業後、デザイン事務所での修行を経て1972年に「ドーンデザイン研究所」を設立。不動産広告のパース画や、家具・建物のデザインを手がけていた。
1988年のJR九州「アクアエクスプレス」のデザイン以降、特急、九州新幹線などの車両や、駅舎、街づくりなどのデザインを通じて、九州各地の活性化に貢献。
「金がかかるばかりで儲からない」と全国の路線から食堂車が消え去りゆく中、「乗客のための空間・広場であって、公共の乗り物の中にあってもいい」という発想で、食堂車をいまの時代に合ったスタイルで蘇らせた。
鉄道デザイン王国・九州を生み出した、水戸岡鋭治の「気」と「志」のすべてがここにある!
【編集担当からのおすすめ情報】
なぜ九州の列車は、他の鉄道にないオリジナリティがあるのでしょうか? ローカル線から特急、九州新幹線まで、唯一無二の車両群や駅舎などのデザインを手がけたデザイナー・水戸岡鋭治氏とは、いったいどのような人物なのでしょうか?
建築物のパース画の分野で一目置かれる存在だった水戸岡氏は、博多の「海の中道ホテル」のアートディレクションをきっかけに、JR九州での車両デザインの仕事を手がけていきます。
困難にぶつかっても、決して妥協することなく、ひとつひとつ最善の手を探っていく。「志」の高さに触発されて、かかわる人の心が揺り動かされながら、ゴールへ邁進する男の挑戦と熱意の記録です。
第1章 コンセプトとはすなわち「志」
……「富士山駅」
第2章 色への狂気「絶対色感」
……大阪「サンデザイン」
第3章 ヨーロッパで出合った洗練とタフネス
……イタリア「シルビオ・コッポラ事務所」
第4章 パース画の世界を切り拓く
……「ドーンデザイン研究所」設立
第5章 成功へと導く「気」の存在
……福岡「ホテル海の中道」
第6章 初の鉄道デザインは挑戦的な「花仕事」を
……58系気動車「アクアエクスプレス」
第7章 百億円の価値を生むデザイン
……高速船「ビートル」
第8章 なぜ食堂車が必要なのか
……787系 特急「つばめ」
第9章 感動は注ぎ込まれたエネルギーの量
……883系「ソニック」、885系 特急「かもめ」
第10章 和の素材・伝統・意匠を新幹線に
……800系新幹線「つばめ」
第11章 「ローカル線」で日本の田舎を再生する
……ゆふいんの森II、九州横断鉄道、
SL人吉、いさぶろう・しんぺい
はやとの風、海幸山幸
……MOMO、KURO(ともに岡山電気軌道)
……いちご電車、たま電車(ともに岡山電鐡)
解説 角田光代(作家)
一志 治夫[イッシ ハルオ]
内容説明
偉ぶらず、媚びない。自分を語らず、自慢の類いはついぞしない。ノンフィクション作家が出会った、JR九州の列車デザイナー、水戸岡鋭治はそんな“目立たない”男だった―。旧国鉄ゆずりの体質に疑問を投げかけ、様々な出会いを繰り返しながら慣習を打ち破り、誰をも魅了する夢の列車を次々と生み出していく。タブーとされた木材を多用し、地元の伝統工芸をふんだんに施したクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」は、日本中の熱狂をさらった。寡黙な男が内に秘めた熱いエネルギーの源泉とは。未来をデザインすることに賭けた男の、がむしゃらな半生記。
目次
コンセプトとはすなわち「志」―「富士山駅」
色への狂気「絶対色感」―大阪「サンデザイン」
ヨーロッパで出合った洗練とタフネス―イタリア「シルビオ・コッポラ事務所」
パース画の世界を切り拓く―「ドーンデザイン研究所」設立
成功へと導く「気」の存在―福岡「ホテル海の中道」
初の鉄道デザインは挑戦的な「花仕事」を―58系気動車「アクアエクスプレス」
百億円の価値を生むデザイン―高速船「ビートル」
なぜ食堂車が大切なのか―787系 特急「つばめ」
感動は注ぎ込まれたエネルギーの量―883系「ソニック」、885系 特急「かもめ」
和の素材・伝統・意匠を新幹線に―800系新幹線「つばめ」
「ローカル線」で日本の田舎を再生する―ゆふいんの森2、九州横断特急、SL人吉、いさぶろう・しんぺい、はやとの風、海幸山幸/MOMO、KURO(ともに岡山電気軌道)/いちご電車、たま電車(ともに和歌山電鐵)/博多駅ビル「JR博多シティ」
著者等紹介
一志治夫[イッシハルオ]
ノンフィクション作家。1956年長野県松本市生まれ、東京都三鷹市育ち。主な著書に『狂気の左サイドバック』(第1回小学館ノンフィクション大賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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