出版社内容情報
湘南に暮らす詩人をとりまく花・虫・鳥・風・雲。ものいわぬ自然にかわって、いのちのありようを綴る。自然と生命をめぐる芥川賞作家の詩的随想集。
三浦半島・芦名の仕事場。詩人は海を見ながら原稿を書く。「一人で仕事場で仕事をしていると、寂しくないか、という人がいるが、それはちがっている。たとえ一人でいても、いつもいろいろな人や本や器械から話しかけられ、それに答えたりしていて、たえまのない刺激の中で生きている。うるさく感じるぐらいだ。そのひっきりなしの声が、海のひろがりの方を向いたときに、ふっととぎれて沈黙にかわる。そのときの解放感がいい…」 周りにはウミネコ、ウグイス、ヒヨドリなどの鳥たち。潮だまりのイソギンチャクやアオサ、ヒザラガイ。そしてゴマダラチョウを見つけアケビコノハやビロウドハマキと出会う。さらに台風もくれば読者も訪ねてくる三浦半島四季折々の楽しみ。「去年、わたしは自分にしては長い時間をかけた小説を発表した。それはこの窓のある場所へ来る前から書き出して、ここで季節が二めぐりほどして書き終わったものである。その体験はまだわたしの中で鐘の余韻のように尾を曳いているが、今わたしは次の、時間のかかる小説に着手しようとしている。それは、わたし自身がすこし変化している、と感じるからである…」日常生活を彩る自然への讃歌を読者の心に送り届ける芥川賞作家の好エッ
内容説明
湘南に暮らす詩人をおとずれる四季折々の来客たち。花に虫にそそがれる、やさしいまなざし!日常生活を彩る自然への賛嘆を、読む者の心に送り届ける芥川賞作家の好エッセイ。
目次
芦名だより(ゴマダラチョウに会う;風の吹く日;傷ついた鳥;ネコ ほか)
自然の焔(一本の木;風と木;カキの木;サクラの屏風 ほか)