出版社内容情報
明治5年、横浜で起こったマリア・ルス号事件の裏で、英米両国の熾烈な確執が渦巻き、日本が近代法治国家としての実力を試される。『開港ゲーム』を興じる彼らに、章一郎は、その外圧を逆手にとって雄々しく立ち向かう。
明治五年、嵐を避け横浜に入港したペルー国籍船マリア・ルス号から中国人苦力が脱走した。長い鎖国から開国、文明開化に沸く日本は、アメリカ・イギリスの利権争いが熾烈をきわめている時期でもあった。近代法治国家を目指し、国際裁判が始まるが、列強の思惑は、その道を塞ぐ。更に、英米の諜報活動から殺人事件が続発、横浜の町を震撼させた。神奈川県令・大江卓の秘命を受けた、日英混血の新聞記者・章一郎は、事件解明にのりだす。耳馴れない迷の言葉〈開港ゲーム〉とは。殺人事件の黒幕、海事審判の駆け引きに、おのれの出生の秘密までからまるとは。