出版社内容情報
7つの物語が精妙巧緻にリンクする連作短編
今年四十歳になるタクシーの運転手、武上英夫は妻に言えない秘密を三つ持っていた。五年前、放火事件が起こった冬の夜にタクシーに乗せた女との経緯もその一つだった。彼に内緒で定額貯金を積み立てている妻にもまた、結婚前に付き合っていた危険な男との過去があり、五年前の冬の夜に武上英夫のタクシーに乗った女には、妻子ある山田宗雄との短い恋があった。山田宗雄が働く新聞社で記者を務める七種歩は妻のまゆみの浮気に気づき、まゆみとは高校時代の同級生だった有坂弓子は三十五歳になっても結婚できないのは妹のせいだと密かに思っていた。有坂弓子と交際中の竹中昭彦には事故で失った双子の弟がいたが、それを彼女に打ち明けていなかった。
そして街の裏社会に生きる“少年”倉田健次郎は雨の夜、武上英夫のタクシーに乗り込み――。ひとつの街を舞台に炙り出されていく、夫婦の関係、恋人の関係、不倫の関係、一晩かぎりの関係、過去の関係……。それぞれの事情を抱えた男と女が、それぞれの人生の境界線に直面したときに生まれる“事の次第”を巧みに描き出し、交錯し連鎖していく至極の小説集。表題作のほか「寝るかもしれない」「姉の悲しみ」「七分間」など、全七篇所収。
【編集担当からのおすすめ情報】
連作小説としても、一本ずつの短篇小説としても、巧みな語りを存分に楽しめます。
読後にはもう一度ページをめくりたくなる、佐藤正午さんの小説的エッセンスが凝縮された作品です。
以前、「バニシングポイント」として刊行された本を改題した、リニューアル文庫です。
内容説明
今年四十歳になるタクシー運転手の武上英夫には秘密が三つあった。そして彼の妻にも危険な男との過去があった。夫婦関係、恋人関係、不倫関係、一晩きりの関係…それぞれの事情を抱えた男と女がありふれた日常を踏み越えたとき生み出されるドラマが、巧みに交錯していく連作小説。妻の浮気相手と対峙するため新聞記者が拳銃を入手する表題作をはじめ、妹のせいで結婚できない三十五歳の美容師の恋を描いた「姉の悲しみ」、街の裏社会に生きる少年の素顔が表出する「七分間」など技巧が光る七篇所収。珠玉の作品集『バニシングポイント』を改題し、新装版として刊行。
著者等紹介
佐藤正午[サトウショウゴ]
1955年、長崎県生まれ。83年、『永遠の1/2』で第7回すばる文学賞を受賞。著書に、「本の雑誌」2000年度ベスト1に選出された『ジャンプ』、2001年「おすすめ文庫王国」で第一位に選出された『Y』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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