小学館文庫
青嵐―新編傑作選〈1〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 384p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784094084603
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

新たな視点で編纂した山本周五郎の短編傑作選。苛烈なる武士の生と死を、その裏に息づく等身大の人間の姿を見つめつつ描き出す。人情、友情、静かな夫婦愛などをテーマとした、山本周五郎ならではの武家ものの名編。

内容説明

昭和の文芸に不滅の業績を残した山本周五郎。短篇の名手と評された周五郎の作品を、新たな視点で編纂した傑作選第一巻。隠し子をめぐる若侍の夫婦愛と友情を描いた表題作をはじめ「ひやめし物語」「いさましい話」「城中の霜」「枕を三度たたいた」「月の松山」「桑の木物語」の、武家ものの秀作七篇を収録した。周五郎の描く武士は、決して特殊な生を生きる人々でなく、愛し憎み、時に過ちを犯しつつも懸命にその生を全うしようとする。その姿は、文壇的栄誉を拒み、つねに読者に向き合おうとした周五郎の人生に似て、今も我々の胸を打つ。

著者等紹介

山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903年山梨県出身。質店の徒弟、雑誌記者を経て、26年『須磨寺附近』で作家デビュー。『日本婦道記』で直木賞に推されるも辞退。その後もすべての文学賞を辞退しつつも、『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』『さぶ』『ながい坂』ほか多くの傑作を残した。67年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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キムチ

28
周五郎は学生時代に大半読んだ。でもふと、人生に倦むと読みたくなる。でゆっくり、頁をめくる。いいなぁ・・時代は江戸期、戦乱もなく災害や飢饉といった事どもの中で人々は暮らす。登場人物は武家、商人、農民。名もなき人々だからこそ足が地についている。男はかくあれと周囲から言われ、女も然り。その中でほっこりした話が呟きのように周五郎によって文字となる。どれも秀作だが「城中の霜」の痛いほどの静謐、「青嵐」の情感がいい。また、次を漁ろう・・2014/06/29

ソーダポップ

27
一般に周五郎の時代小説は「武家もの」と「下町もの」にわけられると思うが、この「青嵐」は「普通の人」である。だから、役目や仕事、恋や家庭や友情、信頼周囲との折り合いがひたすら描かれていた。真面目に日々を歩む自分、極限すれば良くも悪くもそこにあると思う。裏切られても騙されても友を信頼し、あるいは友の更生を信じて引き受ける「武家もの」の主人公たちからは「普通の人」の粘り強さを感じた。「普通の人」たちの潔さ、相手を何処まで信じて待つ愚直なほどの決意さがこの著書を引き立ていたように感じました。2024/01/21

Kira

18
図書館本。既読の二篇を除く五篇を読んだ。「ひやめし物語」は武家の冷や飯食いに訪れた幸運が楽しい。表題作の夫婦の絆の強さにもほっこりした。巻末に収録されたエッセイ「父・山本周五郎の思い出」がとてもよかった。山本氏の素顔を初めて知ることができた。2024/07/01

三平

13
武家ものを集めた短編集。正直、著者の「武家もの」、特に下町育ちの後妻と再婚した昭和21年より前に書かれた作品は建前的な忠孝小説が多く苦手なのだが、今作は年代が様々な作品が混じっているものの、全体的に読後が爽やかで好感が持てた。特に印象に残ったのは橋本左内の最期を描いた『城中の霜』。美しくはないかもしれないが、人となりを現すこれ以上ない散り様が深く心に残った。巻末の清水徹氏による父としての著者を語るエッセイも良かった。(松本大洋による洒脱なカバーイラストも何ともイイ!)2016/04/17

aki

4
「いさましい話」について。 本社から地方の工場ないし支社に配置転換されたエリート社員。あるいは子会社の役員として派遣された大手企業の中堅社員を連想する。現代にも通じる物語だ。また、妻の松尾は自我と言うか気の強いこれまた現代に通じる誇り高い女性。世を渡ることは侍も現代のサラリーマンもいつの時代も大変です。 「侍は1日1日を死ぬ覚悟で生きろ」、これですね。 2019/06/15

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