内容説明
月へ行くことを夢見て、学校のプールに忍びこむ姉妹、小学校の先生の自殺をきっかけに生きる意味を模索する男子たち、大人への抑えられない怒りを抱える少女、魔法使いとともに旅立つ少年、たらこと明太子が繰り広げる戦争…。小学生が書いた小説はテーマも表現も多種多様。小学生限定・新人公募文学賞として二〇〇六年にスタートして以来、多くのメディアで取り上げられ注目されている「12歳の文学賞」初代受賞作・上位作品を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
363
2006年に始まった小学生限定の新人公募文学賞の受賞作。シリーズ化されて出版されているが、これはその第1号。大賞受賞作2篇をを含む9つの作品を収録。12歳らしいとも言えるし、12歳を凌駕しているとも言える。いずれもなかなかの感性だ。しいていずれか1篇を選ぶとすれば、私なら巻頭の「月のさかな」か。「駆除屋とブタ」も捨てがたいし、大人の視点に仮託された蔵方杏奈の2篇にも驚く。9篇のうち、男の子は1篇だけ。まあそうだろうな。文学における早熟は、やはり女の子のものだろう。この子たちの今はどうなんだろう。2019/05/28
三代目 びあだいまおう
192
まだ途中!でも感想残したい!12歳、小学生がその感性と未熟な言葉で紡ぐ小説に激しく心奪われた!すごい、子供の感性と表現力をなめちゃいけない!大人の想像力とストーリーテリングの遥か遥か上を行き、純粋で透明で正直で素直な言葉に我々大人達は後ろめたさを感じざるを得ない。少なくとも私は後ろめたく恥ずかしい!3番目の『オトナのひとへ。』が刺さった!大人ぶってゴメンねって呟いた!もちろん最後まで読むけど、彼らの渾身の小説を読みたくて仕方がない!開花するあなた方の才能と物語を堪能させてください‼️🙇期待しています!
三代目 びあだいまおう
179
読了。そして『ジャンの冒険』の続きもサイトで読んだ。子供たちの溢れんばかりの才能と好奇心にも感銘を受けたが、何より彼らの『チャレンジ』がまぶしい❗鈴木るりかさんを発掘しデビューに導いたこの『12歳の文学賞』も今年で幕(残念) 活字離れが進み、街の本屋さんも半減しているそう。そんな今ですが、電車内で全員がスマホをいじってる中で1人か2人本を読んでる人を見つけると嬉しくなる。それが小学生ならなおさら!一心不乱に読んでるんだよね!デカイ大人たちに囲まれた満員電車で!頑張れ子供たち‼️大いにチャレンジしな‼️🙇2019/01/05
absinthe
150
12歳が書いた文学作品集。「オトナのひとへ」と「駆除屋・・・」がお気に入り。大人ならこう書かないという思いもあるが、大人ではこう書けないという思いがより強い。芸術は個の告白。彼らが大人の視点を持てば、書き直したくなるところは出てくるだろうが、より優れた作品になるとは限らない。この瞬間のこの気持ちこそがこれら作品の本質であろう。エッセイ風の小説だった「オトナの・・・」はとても小学生の技術には見えなかった。2019/06/10
マリリン
29
小学生作家たちが書いた作品集だが、ピュアな感性と心身の成長の微妙なバランスの中で、感じた事を書いた作品はとても読みごたえがあった。追本葵さんの『月のさなな』、「居場所が欲しいの」…こんな気持ちになった事はないだろうか? 脆く危い思春期の揺れ動く心の中にフッと目の前に闇が広がるような。小学生の頃は気づかなかったこの気持ち…懐かしくもほろ苦い思い出がよみがえる。簡潔で読みやすく印象に残った。竹生修平さんの『夕日の丘に』は、先生の自殺や老人との出逢いを通して死と向き合う話。⇒続く 2019/02/13